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機織り職人の仕事場から…

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双紬(もろつむぎ)…最後の最後まで

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これは昨年夏に最初に織った双紬の織り終わりの場面です。
最後になると経糸同士が擦れあい毛羽立って糸切れが起こり、ここまで織り詰めるのが精一杯です。

しかしまだ織れるはずの経糸約25センチほどを織らずに切り捨ててしまう事がとてももったいなく感じました。
この時からこの“もったいない”を解消するための道具を創ろうと考えてました。

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その道具がこれです。私が創った道具なのでまだ名前はありません。分かりやすく言えば“粗いクシ”のようなものです。

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経糸の終わりの結び目が機の上に上がってきたら・・・

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こんなふうにこの道具を経糸に取り付けます。経糸1240本を13のブロックに分けて布に結んであるのを、
この道具でもっと細かく分割するのが目的です。

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結果は予定どおり、経糸を分散させることで経糸同士の摩擦を軽減し、糸の毛羽立ちや糸切れを最後まで防ぐことが出来ました。

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経糸の最後の部分が綜絖にくっつく所まで送ることが出来、緯糸を通す“杼”が通らなくなる最後の最後まで織り詰めることができました。
これで“もったいない”は解消され、気持ち良くこの反物を機から降ろす事が出来たのです。

この道具は、紬糸に限らず手紡綿糸や綿単糸、手績みの麻糸など
毛羽立ちやすい素材を経糸に使用する場合にはとても有効な道具になります。



by kageyama_kobo | 2009-05-10 22:29 | 道具の話