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機織り職人の仕事場から…

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掛川葛布の織り元の倉庫に…

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以前に知人から「葛布を織っていた親戚の家の物置にこんな物があったんです」と言って見せられたのがこの糸の束でした。掛川葛布で使う緯糸独特の巻き方ですが、これは葛の糸ではありません。
掛川葛布の織り元では、以前は葛だけでなくあらゆる繊維を緯糸に織り込んで壁紙材を織っていたという話を聞いたことがあるので、これはその一種だと思います。



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葛布を織る時にはこの一巻きがすっぽり入る専用の杼を用いて織るのですが、我が家にはその杼が無いので板杼に巻き変えて織ることにしました。
糸というよりも裂いた繊維そのもので、長さ2mほどの繊維が独特の“葛布結び”で結ばれています。色が黒く繊維が長いので大麻の表皮の部分ではないかと思うのですが、これは私の想像の範疇です。
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経糸には手績みの苧麻糸を使います。シンプルでモダンな布になるようにと、柄は生成りと紺の棒縞にしました。
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繊維そのものの緯糸はやはり強烈に個性を主張します。市販の糸には絶対にない存在感を持ちながら、自然の生成り色は落ち着いた雰囲気を作り出してくれます。

来月に予定している“松・竹・椿”という作品展で、朽ちた竹の花器に敷くための布です。椿と松を生けて新春を演出します。
by kageyama_kobo | 2011-12-03 22:56 | 染めと織りの素材