
二月の初旬、知人の案内で結城紬の産元を訪れました。いろいろと結城紬に関するお話を聞かせていただいた後、手引きの糸を紡いでいるTさんのお宅に案内していただき、憧れの結城紬の糸が生まれる瞬間を目の当たりにすることが出来ました。
“つくし”という道具に真綿を取り付け、ここから引き出した真綿の一端を時々指を口に運んで唾液を付けながら糸を紡いでいきます。Tさんが左右の指で真綿を引き出す度に“つくし”のキビガラがキューッ・キューッとリズミカルに鳴ります。

紡がれた糸は手元の桶にためられていきます。ふっくらと盛り上がった糸のかたまりが光を透かすと透明に輝いてなんとも綺麗でした。

Tさんの手のひらを見せていただくと指に紡ぎかけの糸を巻いていました。理由とたずねると「ずっと糸を引いているとその糸で擦れて指が切れるの。だからこの糸を指に巻いておくと傷口がふさがって仕事が続けれらるの」との事。長い糸紡ぎの歴史の中で生み出された工夫なのでしょう。指が切れたら糸が引けなくなるという問題に余りにもシンプルな方法で対応していることに感心させられました。

「あなたもやってみたら」と勧めてくれたので私も糸紡ぎに挑戦しました。Tさんの紡いだ糸と私の紡いだ糸、どちらがどちらかはご覧の通りです。