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機織り職人の仕事場から…

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30年付き合ってきた機に違和感を感じて…

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私が現在使っている織機とはもう30年の付き合いになります。これだけ長い間使っていると体の一部のような存在なのですが、数年前のある日この長年の相棒に座った時に違和感を感じました。そして先日、同じような違和感を再び感じたのです。

どのような仕事も同様ですが、毎日使う道具は自分にとって常に最良の使い心地でなくてはなりません。ほんのわずかでも使い難さやストレスを感じたらその原因は完全に取り除いておかないといい仕事は出来ません。

今回の違和感は、機の座面の前後と上下の位置から来るものでした。そこでこの位置を修正した時のお話を書きます。

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数年前、いつもと同じように機を織っていたのですが、背中と腰と足の動き方が何ともギクシャクと感じてしまう事に気付きました。具体的に言うと、体の位置が前すぎて踏み木を踏む足が疲れやすく感じたのです。同時に腰にも負担を感じました。

あれこれと座る位置を試してみて、座板が1.5cmほど後ろに下がるように調整しました。これで感じていた違和感は解消し、以前と同じように気分良く機が織れるようになったのでした。

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そしてつい先日の話です。紬の反物を織っている時に織り際の糸の状態を見るのに不自由さを感じました。「もう少し俯瞰するような見方が出来たらいいのに」と感じたので座面に薄い座布団を一枚乗せて織ってみました。するとこれが何とも気分いいのです。

座面の硬さは今まで通りがいいので、今回は座面に1.5cmの厚みの板を乗せてみました。座布団も左右で厚さが違うように感じたので下に新聞紙を折って敷きバランスを取りました。結果は織り際から織り手前の部分が全体的に見やすくなり、快適な視界が確保できたのです。

今回の二つの出来事は、たぶん私の体の筋肉や視力の衰えが原因だと考えられます。どちらもほんの1.5cmというわずかな修正ですが、私にとってはこれを行うのと行わないのとでは仕事のしやすさ⇒効率⇒能率に大きな差が出てきます。
by kageyama_kobo | 2013-09-11 22:19 | 道具の話