機織り職人の仕事場から…

紬の反物の織り傷を解く

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ただいま“紬反物・利休鼠無地”を織っています。快調に織り進んでいたはずなのですが、ふと気付くと織り手前に傷(赤い矢印の部分)を発見してしまいました。緯糸が経糸をすくって出来た傷が一列に六ヶ所もあったのです。

「言われなければ気付かない程度の傷」なのですが、このままこの反物を織り上げてしまうとこの傷は私の心の傷となってずっと取り去ることが出来なくなってしまいます。
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黄色いマチ針が傷の位置です。もうすでに18センチも織り進んでいました。ここまで解くのにはかなりの時間を無駄にしてしまうのですが、意を決して解き始めました。
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織った布を解くのにはウールなどの太い糸に使う“糸口の広い杼”が便利です。大きな管を使えることと、広い糸口がこの管に糸をたっぷり巻き取ることを可能にしてくれるからです。

結局18センチを解ききるのに他のトラブルも重なって4時間も掛かってしまいました。仕事が後戻りしてしまうというストレスの溜まる作業ですが、私はこの仕事を“祈りの時間”と思って黙々と続けます。

長い長い祈りの後に“心の傷が消える”というご利益があるからです。
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by kageyama_kobo | 2013-10-14 20:08 | 仕事のコツ