機織り職人の仕事場から…

座車(木枠巻き機)を新調

f0175143_1316263.jpg織物の糸を準備する段階で木枠に糸を巻く道具を“座車”“座繰り”“ぜんまい”などと呼びます。

我が家では以前は大きな木枠を使っていましたが、ある時知人から小さな木枠をいくつか頂きました。これをきっかけに、コンパクトに仕事ができるこの小さな木枠を使う機会が増えました。

この小さな木枠に糸を巻くのに、当初は写真左側の鋳物製の座車を使用していました。そして最近になって右側の木製の座車に出会ってしまったのです。



f0175143_13163822.jpgまず最初に素材の木の質感に目を奪われました。これ以上削りようのないシンプルな構造から「使い込んだらきっといい道具になる!」と直感しました。そうです、これはただただ私の“一目惚れ”です。そんな訳で、この座車を我が工房に迎え入れることになりました。

回転部分と木枠を保持する部分とをつなぐジョイントの造りが秀逸です。硬い樫の木の角材に凸と凹の十字の切れ込みを入れて互いをつなぐ事で、シャフトを一直線につなぎながら取り外しを可能にしています。

f0175143_13165549.jpgこの構造のお陰で、付け外しを片手で簡単に行うことができるのです。




この座車は中古で購入したのですが、歯車や軸の磨耗もほとんど無くほぼ未使用状態でした。そのため回転部分の“当たり”が取れていないのでハンドルがとても重かったのです。そこで、回転部分の摩擦を軽減するために潤滑剤を注すというチューンアップを行いました。


f0175143_13165695.jpg木部の回転部分にはホワイトガソリンに蝋を溶かしたものを潤滑剤として使用します。液状なので狭い隙間にも染み込み、時間が経つとガソリンが気化して蝋のみが残り、潤滑効果を上げます。そしてもう一つのメリットは、木部に浸透しにくいためグリスなどに見られる醜い染み汚れが付かないことです。

丁寧に手を掛けた甲斐あって、現在では“カラカラ”と軽やかな音をたてながら快適に糸を巻いてくれます。
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by kageyama_kobo | 2014-08-26 13:57 | 道具の話