機織り職人の仕事場から…

男の黒紬…黒糸を織るための工夫


人間は年齢と共に体の機能がじわじわと衰えてきます。私がその事を実感したのは45歳の頃でした。本やパンフレットの小さな文字が滲んで見えてくる事を知人の眼鏡屋に話したら、「それが老眼だよ!」と一言。そしてその場で老眼鏡を注文したのは言うまでもありません。

その頃からでしょうか、私は細くて濃い色の糸を経糸に使用する時に必ず使う道具があります。

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赤い矢印の先にあるのがその道具で、素材は白い発泡スチロールです。自分の足や綜絖など動く部分と干渉しないよう、そして機にはめ込むようにカットしてあるので、わずかな固定器具で取り付けられます。

左側は織り際が良く見えるよう、そして右側は綜絖と綾棒の間の糸の状態を確認するためのものです。

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この白い背景があることで濃い色の経糸の状態が良く把握でき、特に今回使用している節の多い糸などはこれがあることで綜絖周辺の経糸の節や枝糸をいち早く発見することが可能になります。

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ご覧のように白い背景に黒い糸がくっきりと見えるので経糸が切れてもすぐに発見でき、傷を織る前に手直しが可能となります。

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他の糸に絡んだり綜絖に引っかかったりする枝糸は、早めの発見と対応で作業時間のロスを軽減できます。

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もう一つ老眼対策として行ったのが作業エリアの照明の充実です。天井に取り付けたスポットライトはLED電球なので発熱も少なく、コンパクトであることが気に入っています。スイッチは機に座った状態で手が届く所に取り付けてあります。


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ライトの光軸は綜絖と間丁の間の綾棒周辺に合わせてあります。細い経糸が切れた場合、この辺りでつなぎ直すことが多いからです。

織りの作業の中で理由の分からないストレスを感じるようになったら、照明を改善してみることをお勧めします。きっとかなりの確率でストレスが軽減されると思いますよ。

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by kageyama_kobo | 2016-09-30 02:17 | 道具の話