機織り職人の仕事場から…

いろいろな筬(おさ)

 織物の道具の中で機に仕掛けた経糸の密度と織り巾を決定するのが筬(おさ)です。この筬を使い分けることで、あらゆる太さの経糸を使い分けることが可能となります。

 筬には大きく分けて金筬(かなおさ)』と『竹筬(たけおさ)』の二種類があります。その名のとおり金筬は金属(主にステンレス)で 出来ており、竹筬は竹製です。
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 上の写真の筬は金筬の中でも<樹脂の筬>と呼ばれる種類で、我が家では主に麻や木綿を素材として織る時に使用します。

 刻印されている『10.12.14.16.・・・32』という数字は鯨尺の一寸(約3.8cm)の中の筬目(スリット)の数を表しています。『10』と刻印された筬は一寸の間に10のスリットがある筬という事です。

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 この写真の筬は、我が家でもう50年以上も使われている竹筬です。とは言っても、実際に仕事に使用する筬はほとんど金筬にその座を譲り、竹筬は時折り千切り巻きの時の巻き筬として使用されるくらいです。

 この筬に書かれている数字は『ヨミ』という単位です。『ヨミ』は日本で着尺を織る場合に使われる独特の単位で、『一ヨミ』は40目(40のスリット)を表します。

 着尺の織り巾の基準は伝統的に鯨尺の1.05尺(約40cm)とされています。この巾の中にいくつのスリットがあるかをこの数字が表しているのです。例えば『十三○』と書かれた筬は「十三ヨミの筬」と呼ばれ、1.05尺の巾の中に520目(13ヨミ×40目なので)の筬目があります。通常は丸羽(一目に経糸2本を通す)で使用するので1,040本の経糸を使用するということになります。

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 この筬は我が家で主に着尺を織る時に使用していた筬で、十五ヨミの筬は精錬前200デニールの絹糸を用いて1,200本の経糸で織る時に、十七ヨミの筬は精錬前180デニールの絹糸を用いて1,360本の経糸で織る時に使います。

 筬羽と筬目・・・筬屋と話をしていると必ずこの二つの言葉が出てきます。とても紛らわしいのですが、この言葉の意味をしっかりと理解しておかないと思い通りの筬は注文できません。

筬羽は筬の細い板の事で筬目はスリットです。具体的に言うと20羽は19目ということになります。
お分かりですか?
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by kageyama_kobo | 2008-08-13 20:45 | 道具の話