機織り職人の仕事場から…

極上の糸 … カシミヤ

 カシミヤはとても素直な繊維です。ウールと同じように染色することが出来、少々雑な扱いをしたり高温の液で染色してもフエルト化しにくく(ウール混の場合は除く)、繊維が短いわりに毛羽立ちが織りの邪魔になるような事もないので糊付けも不要でとても扱いやすい繊維だと思います。
f0175143_21494393.jpg
 そのカシミヤの糸を使ってストールを織り付けました。写真では粗い平織りに見えますが、実は模紗(もしゃ)織りです。
 織り上がった後でお湯の中で縮絨(しゅくじゅう)すると糸に膨らみが戻り手触りのいい布になります。

 縮絨(しゅくじゅう)とは毛織物独特の仕上げの方法で、我が家では織り上がったカシミヤの布をモノゲンを溶いた約50~60℃のお湯に漬けて揉んだり踏んだりを繰り返します。かなり乱暴な扱いをしますが、布自体はしっかり織り込んでありますから問題はありません。この作業の中でカシミヤの繊維の表面にあるキューティクル(うろこ状のもの)が隣の繊維同士からみ合い布がフエルト化します。このフエルト化が布の中の糸をお互いに固定して、結果的に丈夫な布になるのです。

 それでも我が家で織るカシミヤの布は完成品ではありません。手織りのカシミヤは実際に身に着けて使い込むことで織り込まれた糸の間から繊維の毛先が起き上がり、この起き上がった毛足が布の表面全体を覆うことで本物のカシミヤの手触りが生まれます。

●カシミヤ100パーセントの布は、ウールのように洗濯で縮むようなことはないので、安心して御自分でお手入れをして下さい。
 ・30℃ほどのぬるま湯にウール用の洗剤を溶いて、その中に布を浸して軽く押し洗いすると普通の汚れは落ちてしまいます。
 ・洗剤をよくすすぎ、脱水機に掛けてから陰干しをします。
 ・最後は布目を整えて中温のアイロンで仕上げていただくとお手入れが完了です。
 ・カシミヤは虫の大好物です。保管には防虫剤をお忘れなく!

※この『布を使う→洗う』の繰り返しがカシミヤの布の最後の仕上げ工程になるのです。


 お求めいただいたお客様にこの布を使い込んでいただき、御自身の手ででカシミヤの布の仕上げの工程を行っていただきたいと思っています。


 滑りのある極上の手触りと上質なドレープがカシミヤの魅力です。どんなストールになるのか、秋の作品展でご覧下さい。
[PR]
by kageyama_kobo | 2008-08-29 22:21 | 染めと織りの素材