機織り職人の仕事場から…

綜絖通しのコツ

 今回は少々専門的なお話をします。
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 機織りの経糸を上下させる道具を綜絖といいます。この綜絖に経糸を能率よく通す方法のお話しです。

 織物をする人たちとお話をする機会が何度かあり、その中で「綜絖通しが大変で・・・」「最近目が悪くなったので綜絖通しがはかどらなくて・・・」などという声をよく耳にします。しかし、綜絖通しはそれほど大変でもなければ目を使う作業でもありません。

 綜絖通しに慣れない人は綜絖の糸が通る穴を目で確認してカギ針を通している場合がほとんどだと思います。しかし、穴を確認するのを目ではなくて指先で行うと、今までよりもずっと早いスピードで綜絖を通すことが出来ます。

 ※綜絖をはさんで糸を差し出す人と引き抜く人の二人で行うことを前提に、糸を引き抜く時のカギ針の通し方を解説します。


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ワイヤーへルド(綜絖の針金の部分)の真ん中に糸の通る穴がありますが、この穴を左手の親指と人差し指でつまんで穴がまっすぐこちらを向くように持ちます。


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右手に持ったカギ針の先をこのワイヤーヘルドの穴の手前親指と人差し指で作られた谷間に置きます。

※ここが一番重要なポイントです。右手と左手の距離感は人間の体が自然に身に付けているので、例えば右手に持ったエンピツの先端を目をつぶって左手の人差し指の先に当てることを想像してみて下さい。しっかり見つめていなくてもこの動作は簡単に行えると思います。

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この親指と人差し指で作られた谷間をガイドにしてカギ針を前方に滑らせていくと、鈎針の先は自然に穴を通過していきます。この時、左手の親指と人差し指が自然にカギ針を穴に導く動きをしてくれると思います。
これが『穴を確認するのを目ではなくて指先で行う』という事なのです


 言葉で書くとたったこれだけの事ですが、この方法に慣れると綜絖通しのスピードは今までとは格段の差が出るはずです。
 糸を引き抜くスピードが上がったら、同時に糸を差し出す方のスピードも上げなくてはなりません。二人の呼吸を合わせることがとても重要です。(この呼吸が合わないと、私の場合はストレスが溜まります)

 参考までに、10分間で70本通すことを目標にしてみてください。100本通せたらなかなか、130本以上通せたら本職レベルです。
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by kageyama_kobo | 2008-09-05 16:59 | 仕事のコツ