機織り職人の仕事場から…

カテゴリ:仕事場の風景( 79 )

のれんの仕立て

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我が家では“のれん”は織り上がった後は庭に張り、地直しの作業を行います。
実際には刷毛を用いて生地を水で濡らし、経緯の糸をよく馴染ませるのが目的です。

この工程を経た後に仕立ての作業に移ります。

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のれんの仕立ては母が専門に行っていました。しかし高齢化に伴い現在では私がその後を継いでいます。言ってみれば我が家ののれんはすべて“男仕立て”です。

縫い糸には生地の麻糸よりも弱い木綿の糸を用います。何かのトラブルでのれんが引っ掛けられた時、縫い糸が切れることで生地が裂けるのを防ぐためです。

縫い糸が表面に出ないよう、織り糸をすくうように針を進めます。

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影山工房でのれんを織り始めた当初から織り続けている“雨”というタイトルののれんの完成です。




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by kageyama_kobo | 2017-05-29 12:04 | 仕事場の風景

男の黒紬を湯通し…音で分かる布の良しあし

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天気予報をにらみながら昨夜遅く“男の黒紬”の糊落としを行いました。そして今朝、長い雨が続いた後の久しぶりの朝日。湯通しには絶好の薄曇りの空のもと、糊落としを終えた反物を丁寧に水洗し庭に引っ張って伸子を掛けます。

通常は水洗の終わった反物は軽く脱水機にかけてから庭に引っ張ります。しかし黒など濃色の反物は水が滴るくらいの状態で引っ張ります。太陽の熱を吸収しやすい濃色の布は乾燥が早く、水をたっぷり含ませておかないと伸子を掛け終わる前に乾いてしまうからです。

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反物が庭に張れたら伸子掛けです。布が乾く前に終われるよう大急ぎです。竹ひごの両端に短い針のついたものが伸子で、この針を反物の両耳の約1ミリ辺りに刺します。

生地に針を刺す時に“プツッ”と音がします。紺屋に生まれて若い頃から数えきれないほど湯通しをしてきた母が「この“プツッ”て音がしなかったら上等な生地じゃないよ!」とよく話していました。筬の打ち込みの甘い生地はこの音がしないのです。

今回もこの“プツッ”が聞こえて一安心でした。




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by kageyama_kobo | 2016-10-04 13:23 | 仕事場の風景

機の入れ替え

f0175143_21253172.jpg蓮糸の服地を織るのに活躍してくれた広幅の機。使命を果たした後は次の仕事の機会が訪れるまでしばらくお休みしてもらいます。

f0175143_21254954.jpg今日の午後一番に解体を始め、3時休み過ぎにはこの通り。

f0175143_21260584.jpgそう広くはない我が家で解体した機をどこに置くべきか相当悩みましたが、仕事場の壁に積み上げるように収納することを決定。

あれだけ大きく感じていた機でしたが、解体してみると「たったこれだけ?」と思うくらいコンパクトになってしまいました。

f0175143_21261940.jpgその後は通常使う着尺機を組み立て、今日の午前中に筬通しまでしておいた次の仕事の“黒無地の紬反物”を織りつけました。


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by kageyama_kobo | 2016-09-10 22:07 | 仕事場の風景

蓮糸100%の服地…いよいよ織り始め!

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今月に入ってから準備を始めた“蓮糸100%の服地”。試し織りを経て本番に向けての不安材料を一通りクリアーした準備が終わり、いよいよ昨日から織り始めました。

綜絖や踏み木を結ぶ紐などはすべて新調したため、織り始めはこれらが少しづつ伸びてくるので調整に時間がかかりました。綜絖や筬塚の位置や高さも、実際に織りながら体に合わせて調整していきます。

これだけの広幅の機に座るのは学生時代以来なので、実に40年振りです。

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綜絖の幅は90㎝。今まで織っていた小幅の綜絖と比べると、シャトルが楽に走るための開口を得ようとすると、踏み木を踏み込む力は倍以上必要だという事を実感しました。そして90㎝の織り幅の経糸の間にシャトルを途中で止まることなく投げるコツをつかむまでしばらく時間がかかりました。

仕事場にはエアコンも入っているのですが、それでも汗がにじんでくるのでねじり鉢巻きで織っています。

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経糸を木枠に巻く段階で節や結びこぶを丁寧に取り除いておいたので、試し織りよりもはるかにきれいに織り上がったように感じます。同時に経糸の切れる回数も少なく(それでも結構切れる)、体が機に慣れるほどに織りのリズムもつかめて、作業が楽しくなってきます。

真ん中に置いてあるデニムの布は、少々膨らんできた私の腹部が織り上がった布とこすれるのを防ぐためのものです。同時に握りハサミなど小さな道具の置き場所にもなりました。

これから幾日間か“織っては切れた経糸をつなぎ…”を幾度となく繰り返す修行の日々が続きます。
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by kageyama_kobo | 2016-08-24 22:20 | 仕事場の風景

床に開けた穴

f0175143_236479.jpgこの度改装した新しい仕事場には、床に40㎝×60㎝ほどの穴が開けてあります。一見すると台所などに見られる“床下収納庫”のようにも見えますが、実はそうではありません。

普段はご覧のように蓋をして床として使えます。そして、ある仕事をする時にこの蓋を開けるのです。

f0175143_2381245.jpg穴の深さは約40㎝ほどで、この部分は箱になっています。この箱を引き上げるとぽっかりと穴が開いて床下の点検のための出入り口にもなります。

f0175143_2383780.jpg本当の使い方はご覧のとおり。

最近になって管巻きの時に床にあぐらをかいたり正座をすると膝に痛みを感じるようになりました。

特に経糸を大管に巻く時は長時間座り続けなくてはならないのが辛かったのです。

そこで椅子に座る体制ならば膝に負担が少なく管巻きの作業が楽になると思い、この穴の事を思いついたのです。

結果は大成功で、大管巻きがとても楽になりました。

私は今年還暦を迎えました。そこで、来たるべき自身の高齢化に備えて新しい仕事場にはこのような“老体に優しい工夫”を随所にちりばめてあります。

他所に預けてあった仕事道具もすべて仕事場に納まり、棚や吊り金具の取り付けもほぼ終わって、先週10ケ月振りに機織りの仕事が再開できるようになりました。あれこれと工夫を凝らした仕事場が予想通りしっかりと機能してくれるのかを確認しながらの再出発です。

工夫の成果が出ましたら、また紹介していきたいと思っています。
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by kageyama_kobo | 2016-03-31 23:54 | 仕事場の風景

いよいよ、始動!

皆様、お久しぶりです。

昨年6月から始まった工房・自宅の改修工事がようやく完了しました。
とは言え現段階では器ができただけで中身はまだこれから。仕事の道具を配置するための棚やフックを取り付けたり、道具類をすぐに使えるように配置したりしなければならず、実際に仕事にかかるまでにはまだしばらくかかりそうです。
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それでも早く機に触りたいという気持ちから預けてあった機を工房に持ち込み、今日はその大掃除を行いました。

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私の使う機は我が家で50年近く使い続けてきたもので表面には長年の埃がこびりついてかなりの汚れ様でした。重曹で磨き上げるとさっぱりとした木の表情になりました。

明日はこの機を組み立てて、仕事を始動する気持ちを盛り上げたいと思っています。
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by kageyama_kobo | 2016-03-03 01:31 | 仕事場の風景

工房改装のため機を解体しました

f0175143_20503655.jpg私の両親が現在の場所に工房を構えたのが約60年前。わずかな改修や道具の配置替えはあったものの、ほぼ当時のまま現在まで使い続けてきました。40年前からは私が加わり、写真のように両親と機を並べて布を織る日々が続いてきました。(写真は2008年)

高齢になった両親は5年ほど前に現役を引退し、その後は家内とスタッフがこの道具を引き継ぎ、機音の響く日々が続いています。

そして今年、この工房を更に広く使いやすくするべく改装します。

f0175143_20513156.jpg今朝まで仕事場の真ん中に鎮座していた機を、今日一日かけて解体しました。

仕事場の中であれだけの面積を独占していた3台の機もたたんでしまえばたったこれだけです。

改装が終わったら綺麗に磨き上げて組み立て、また以前のように一緒に働いてもらいます。

f0175143_20515085.jpgこれは私の機の鳥居です。永年使い続けてよく使う中心の柱が磨り減ってしまいました。以前にも同様になってしまい一回父に直してもらったので、これはその後に減ったものです。取り外してみて改めて道具の消耗に驚かされました。

この機会にもう一度この部分は修理する事にします。

f0175143_2052758.jpg機が無くなってみて改めて仕事場の広さを実感しました。

毎日見慣れた床板の傷や節が妙に愛おしく、一通り掃除機をかけた後、丁寧に床全体に雑巾がけをしました。

この床板は物資の少ない時代に親類の伯父さんが父のために特に厚い板を調達してくれたと聞かされています。丁寧に外し、新しい工房のどこかに活かして使いたいと考えています。



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by kageyama_kobo | 2015-05-31 22:01 | 仕事場の風景

カシミヤのストール

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12月上旬に控える静岡・亀山画廊での作品展に向けて、ただいま“巻き物”の制作を続けています。昨日から織り始めたのは織り幅60cmのカシミヤストールです。

柔らかな糸を組織織りで織るとき、緯糸の耳の引き具合がとてもデリケートになります。この緯糸の処理をやりやすくするためには織り際の幅を安定させるための“織り伸子”が必要になります。

そこでこの度、60cm用の“織り伸子”を新たに制作しました。ストックしておいた竹を割って削って、織り縮みを考慮して左右の針の間隔は58cmにしてあります。

伸子を張る事で織り際の布地が固定されるため緯糸の引き具合を加減するのが楽になり、耳が真っ直ぐに織れるようになるのと同時に織り進むテンポを上げることができました。
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by kageyama_kobo | 2014-10-03 21:42 | 仕事場の風景

木綿の仕上げはザラ干し

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梅雨の晴れ間に依頼を受けて織った綿布の糊落しをしました。“手紡ぎのエジプト綿”で織られたこの布は生成りの色が濃く、白無地と言うのには気が引けるような薄茶色をしています。

木綿の布の仕上げは、以前に湯通しして伸子を掛けた仕上げをした時に布が伸びてしまった経験があったため、それからは引っ張らずにザラ干しをすることにしています。

この後、アイロン掛け⇒砧打ちをして仕上げは完了です。
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by kageyama_kobo | 2013-06-02 13:18 | 仕事場の風景

新製品の試作で今日は裁縫

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奈良・五風舎での作品展に向けて展示品の幅を広げるべく新製品の試作を始めました。我が家では今まで布を加工して販売することはあまりなかったのですが、今回は織った布を切って縫って、身近で使える楽しいアイテムを開発中です。何が出来るのかは五風舎でご覧になって下さい。

久し振りにミシンを踏みましたが、こういう仕事はとてもいい気分転換になります。
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by kageyama_kobo | 2013-03-08 12:48 | 仕事場の風景