機織り職人の仕事場から…

カテゴリ:仕事のコツ( 24 )

第5回 影山工房公開講座 “織りを伝える” 終了

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2月10日(金)~12日(日)と東京神田のTEORIYAさんを会場に
“第5回 影山工房公開講座 織りを伝える” を開催しました。

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二階のギャラリーは“織道具機料善”の道具類と、影山工房の織物の一部を展示。

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四階の講座会場は、今回は定員10名のコンパクトな構成で行いました。

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講座の資料として用いた布たちはすべて私が織ったものです。

糸のこと・柄のこと・染め方のこと・織り方のこと・仕上げのこと・
その布たちが出来上がるまでの工程を、テーマごとに丁寧に解説しました。

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資料の布は見るだけではなく、受講者がすべての布を手に取って感触まで確かめられるようにしました。

話があまり硬くならないように脱線話なども考えていたのですが、
受講者の熱い思いがビンビンと伝わってきてとても横道に逸れるような雰囲気になれず、
各講座ともあっという間に1時間半が過ぎてしまいました。

受講して下さった皆さん、ありがとうございました。
今までに行った5回の講座の中で今回が最も充実感を味わうことが出来ました。

この講座は今後も続けていく予定です。
今回受講できなかった方は、ぜひ次回は早めのお申し込みをして下さい。
さらにバージョンアップした内容を用意してお待ちしています。





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by kageyama_kobo | 2017-02-13 22:46 | 仕事のコツ

“麻のれん”の仕上げ作業

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私の住む静岡県は一昨日が梅雨入りでした。それでも今年は6月は空梅雨との事で、今日は朝から晴天です。

昨日織り上げた“麻のれん”ですが、仕上げ作業はてっきり天気待ちかと思っていたら思いがけず太陽が顔を出してくれたので、空模様が悪くなる前に大慌てでやりました。
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我が家の麻布の仕上げは、まず布を水に漬けてしっかりと水分を含ませた後“張り手”という道具を使って庭に布を張ります。
そして布が乾く前に布全体の両耳を引っ張って幅出しをします。
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細糸で麻布を織る場合は耳がきれいに織れるように両耳の経糸のそれぞれ8本ほどを筬に“混み挿し”にします。このようにして織ると両耳が若干突っ張ったように織り上がるので、この段階で両耳を縦方向に引っ張って布の両耳と真ん中(矢印)が平らに乾くように手を加えます。

麻糸は私にとってはとても気難しい糸で、下手に織ると耳が波打ったり突っ張ったりするので気が抜けません。麻らしいシャキッとした布に仕上がるよう最後の丁寧な仕上げは欠かせないのです。
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by kageyama_kobo | 2016-06-08 23:09 | 仕事のコツ

紬の反物の織り傷を解く

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ただいま“紬反物・利休鼠無地”を織っています。快調に織り進んでいたはずなのですが、ふと気付くと織り手前に傷(赤い矢印の部分)を発見してしまいました。緯糸が経糸をすくって出来た傷が一列に六ヶ所もあったのです。

「言われなければ気付かない程度の傷」なのですが、このままこの反物を織り上げてしまうとこの傷は私の心の傷となってずっと取り去ることが出来なくなってしまいます。
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黄色いマチ針が傷の位置です。もうすでに18センチも織り進んでいました。ここまで解くのにはかなりの時間を無駄にしてしまうのですが、意を決して解き始めました。
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織った布を解くのにはウールなどの太い糸に使う“糸口の広い杼”が便利です。大きな管を使えることと、広い糸口がこの管に糸をたっぷり巻き取ることを可能にしてくれるからです。

結局18センチを解ききるのに他のトラブルも重なって4時間も掛かってしまいました。仕事が後戻りしてしまうというストレスの溜まる作業ですが、私はこの仕事を“祈りの時間”と思って黙々と続けます。

長い長い祈りの後に“心の傷が消える”というご利益があるからです。
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by kageyama_kobo | 2013-10-14 20:08 | 仕事のコツ

太さの分からない糸を使う

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木綿の手紡ぎが大好きなTさんから預かっている糸があります。「この糸を使いきるつもりで布に織ってちょうだい。柄はお任せします」との注文を受けていました。手作りの糸なので規格品の糸とちがい太さの表示がありません。それで、最適な経糸の密度(筬)を決めるために糸の長さと重さから太さ(番手)を計算しなくてはなりません。

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by kageyama_kobo | 2011-08-01 21:47 | 仕事のコツ

木綿の布の糊落とし

単糸や細い木綿の糸を織る場合には、毛羽立ちを押さえて扱いやすくするために染色後に糊付けを行います。この糊は織り上がった布には不要のものなので、これを落として木綿本来の風合いを出すために“糊落とし”を行います。

我が家では木綿の糸には小麦粉の糊を使用しますが、小麦粉糊は繊維に吸着しやすく、そして煮沸しても完全に取り除くことは不可能なので“澱粉分解酵素”を用いて糊落としを行います。

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最後に水の中で振り洗いと揉み洗いをしてすすぎ・・・

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by kageyama_kobo | 2010-12-26 23:23 | 仕事のコツ

小さなカセの解き方

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昨年、野蚕の糸を手に入れました。少し黄色みのあるデコボコの節が面白そうな糸でした。

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by kageyama_kobo | 2010-09-04 22:30 | 仕事のコツ

今日は絹糸の精錬

今日は博多帯を織るための絹糸の精錬を行いました。我が家の精錬は“石鹸練り”です。“へっつい”の釜の容量は約15リットルあり、これで1.5キロの糸の精練ができます。糸の重さの15パーセントの“マルセル石鹸”を包丁で細かくきざみ、これを熱湯に溶かして精錬液とします。
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釜に糸を漬けると間もなく、糸の中のセリシンが解け始めて膨張し糸はヌルヌルの状態になります。滑りやすくなっているので糸を繰るのには少々技術が必要です。

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by kageyama_kobo | 2010-08-24 01:05 | 仕事のコツ

経糸に付ける糊には油を少々…

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絹・麻・木綿と繊維の種類に関係なく細い糸を機に掛ける場合には、染色の後で糸に必ず“糊”を付けます。糊を付けて糸に硬さや張りを持たせることで作業中の糸の絡まりを防ぎ、滑りを良くし、扱いやすくするためです。

反物や帯のように経糸の密度の高い布を織る場合には、この糊の中に油を少々加えます。ほんのわずかな量ですが、この油を加えることで経糸同士の摩擦を軽減させることが出来ます。

以前に木綿の反物を織る時に、経糸の糊に油を加えたものと加えなかったものの二種類を試したことがありました。結果は、織り上がった後に機の下の床に落ちる“綿ぼこり”の量に明らかな違いがありました。

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by kageyama_kobo | 2010-04-08 20:18 | 仕事のコツ

“発泡スチロール”は強い味方

f0175143_8335263.jpg紬糸座繰り玉糸のような節の多い経糸を使う場合は、布の中に極端な節の固まりが織り込まれないように大きな節は取り除きながら織っていきます。

特に濃い色の経糸の場合は糸の状態が見にくいために、私は筬柄(おさづか)の下と綜絖の向こう側の下部に発泡スチロールの板を置くことにしています。


f0175143_8344256.jpg2~3センチの厚さの発泡スチロールの板を買ってきて、足に触らない大きさにカットして、機のフレームの上に乗せるだけです。

軽い物でもあり特に固定する訳ではないので邪魔な時や不要な時には簡単に取り外すことが出来ます。


f0175143_8345753.jpg織り際の上から覗くとご覧のように、白い発泡スチロールをバックに糸の状態がくっきり浮かび上がって節を見つけるのがとても楽になります。


f0175143_8351155.jpg織り終った後の綜絖の向こうのスチロールの上には、経糸が擦れて落ちた綿ぼこりがこんなに積もっていました。

ふんわりですが厚さは3センチほどはあったでしょうか。途中で一回掃除をしたので、一反の半分くらいを織って出た量です。


f0175143_8352435.jpgまとめて手に取るとこんな量です。織っている最中に経糸に絡みつかなかったのが不思議なくらいです。
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by kageyama_kobo | 2009-11-12 21:36 | 仕事のコツ

太い経糸のつなぎ方

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細い糸ではそれほど気にならない経糸のつなぎ目も、太い糸になると結び目のコブが筬に引っかかったり、織り上がった布の上に盛り上がって手触りに影響することがあります。

麻糸の双糸(リネン8/2)をサンプルに、この結びコブを小さくする方法を紹介します。

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まず、結ぼうとする糸の切り口から3~4センチの撚りをほぐします。

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二本に分かれた糸の夫々を、右手の親指の爪でしごいて先端の繊維を半分ほど削り取ります。

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先端の繊維が少なくなった二本の単糸に指で撚りを掛けて再び双糸にします。

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結び合わせる二本の糸の双方にこの作業を行います。写真のように先端に向かって細くなっていくテーパーの付いた糸になるはずです。

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なるべく糸の先端に近いところ同士で“機結び”することで、結びコブの小さな結び目が出来ます。

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ただ普通につないだ糸(写真下)とコブの大きさを比べてみてください。

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このように結びコブを小さくすることで筬への引っかかりも気にすることなく経糸として使えるようになります。

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by kageyama_kobo | 2009-08-06 20:49 | 仕事のコツ