機織り職人の仕事場から…

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はじめまして

 私は静岡県東部の富士山南麓の街・富士宮市で『影山工房』という手織物の工房を主宰している影山秀雄と申します。湧水が豊富で気候の温暖なこの土地に生まれて育ち、自然の恩恵を受けながら日々糸を染め機を織る仕事を続けています。
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 我が家の織物は私の父の代から始まりました。太平洋戦争が終わった後シベリヤ抑留から帰還した父が、それまでの会社勤めに見切りをつけて自分の思い通りに出来る仕事として選んだのが織物でした。恩師であった芹沢銈介氏に相談をし、浜松市で『ざざんざ織』の『あかね屋』を主宰する平松実氏を紹介していただきました。平松氏の下で二年間仕事を習い、その後昭和28年に母と結婚し、富士宮市に仕事場を開いたのが『影山工房』の始まりです。
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 当初は木綿の着尺(唐桟・トウザン)を織っていました。織物の産地でもなく問屋との繋がりもない状態でしたが、知人に鎌倉の工芸店を紹介していただき販路が出来ました。この頃織った反物は鎌倉在住の文士や画家などの人達が好んで求めてくれたとの事です。

 昭和30年代に入ると取引先から絹織物の『紬・つむぎ』の反物を織ることを勧められ、以後紬を専門に織るようになりました。その後長く続いた紬ブームは私が大学から家に戻った昭和53年頃にそろそろ下火となり、鎌倉からの注文も途切れがちになってきました。しかしそれと入れ替わるように地元の個人のお客様からの注文が増え始め、当時は両親と三人で毎晩夜なべ仕事をするのが当たり前の日々でした。
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 しかし世の中の手織物に対する需要はその後大きく変化し、着物や帯を主力としていた我が家の仕事も転機を迎えました。それまで暖めていた『絹以外の素材を使った織物を』という思いを具体化する機会でもありました。この頃、友人に誘われて訪れた桜井茂雄氏(焼津市在住)の型染めの個展で見た美しい藍の色との出会いから、現在も続いている我が家の綿麻のインテリア製品の製作が始まりました。
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 私が現在使用している素材は、絹・木綿・麻・羊毛・カシミヤ・さらには蓮の糸なども用いますが、これらの糸を布にするときにいつも心掛けているのは『素材の質感を最大限に活かす』という事です。光沢があり発色が綺麗でしなやかな絹は身にまとう布に、手触りの優しい木綿は手や肌に触れる機会の多い衣類やマット類に、摩擦に強く張りのある麻はのれんや敷物に…という具合です。そして、いずれの糸もしっかりと打ち込んで織ります。最初は少々硬い布のようでも使い込んだときに必ず素材本来の風合いが現れて来ますから、この状態になったときに糸が気持ちよく布になっていてくれるように、糸の種類・太さ・密度・打ち込みのバランスなどに心を配ります。
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 私が仕事として織物に携わって約35年になります。織物の素材は触るほどに手掛けるほどに魅力と可能性を増して仕事を面白くしてくれます。私が仕事の中で感じた事や気付いた事、更には父や多くの人達から教えていただいた織物の技法などを、布好きの方には素材が布になっていく工程を知ることでさらに布が好きになってもらえるように、布作りに携わっている方には制作の上でのヒントにしていただければと思いこのブログを書いています。

 日々の仕事の中、思いつくままに綴っていきます。お時間のある時に覗きに来て下さい。
                                                              影山工房 影山秀雄
 
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by kageyama_kobo | 2008-05-13 22:15 | はじめまして