機織り職人の仕事場から…

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新しい整経台

f0175143_20241158.jpgこの度の仕事場のリフォームに合わせて整経台も新調しました。サイズは以前のものとほぼ同じですが、あちこちに改良を加えてあります。
今回は少々長くなりますが、この整経台を紹介します。

一番の改良点は、今までのものは据え置き型だったのに対して新しい整経台は折り畳み式にしました。使用しない時に仕事場の床を広く使うための苦肉の策です。

f0175143_20242914.jpg整経を行なう時は“管立て”を手前に傾け、整経台を起こして足を取り付け斜めに固定します。

f0175143_20244732.jpg整経台の木枠は4か所の蝶番で壁に固定してあります。

f0175143_20245979.jpg足は手前左右の角に柱を立て、それぞれ蝶ネジ一本で固定します。きゃしゃに見えますが木枠ががっちり作られているので少々触ったくらいではビクともしません。

この足の部分と壁に蝶番で止めてある部分は以前の整経台の木材を使っています。先輩が後輩をがっちり支えてくれています。

f0175143_20251427.jpg経糸を掛ける“駒”は竹を削って作りました。頭の部分は握りやすいように四角に、根元の部分は糸が自然に曲がるように丸くしてあります。

整経の作業中、時に使わないとなりの駒が邪魔になることがあります。そんな時は取り外すことができるよう抜き差し自由にしてあります。

f0175143_20252877.jpg整経台を使わない時、長い“綾取り棒”は邪魔になるので、これはネジ式にして取り外せるようにしました。

f0175143_20254130.jpg実際に使う時はこのようになります。

f0175143_20255876.jpg木枠の左上の隅にヘラ状の竹で“糸休め”を作りました。

整経の最中に糸を替える時、電話に出る時、トイレに行く時、玄関に宅急便が来た時、ここに糸をはさんでおけば糸を緩めないで手を放すことができます。

f0175143_20261336.jpg整経が終わったら残った糸を切り離すために、私はいつからかこの位置に少し大きめの“握りハサミ”を置くようになりました。

作業中に結び目を直したり糸の節を取ったりする時も、この場所にハサミがあるととても重宝します。

f0175143_20262545.jpg整経が終わったらまずヒモで綾を取ります。

f0175143_20264040.jpg次に麻ヒモで最後の部分をきっちりと結びます。

f0175143_2027024.jpg麻ヒモで結んだところを左手で持ち、綾取り棒の左側の部分の糸を右足で踏みつけ(普通の方はこの部分は軽くヒモで結んでおくとよいでしょう)、刃の反った小刀でザクッと切り離します。

この部分は小刀の刃が何回も当たるので深く掘れてしまいます。それを防ぐためにカッターナイフで紙などを切る時に下に敷くカッティングマット(緑の部分)を小さく切って埋め込んであります。

f0175143_20271376.jpg糸を切る場所のすぐ上の駒だけは鉄の棒(五寸釘)の頭を丸く磨いたものを使います。最後に整経台から経糸を外す時、先ほど麻ヒモで結んだ端の部分を二つに裂いてこの駒に刺せば、糸の束の終わりの端が簡単に固定できます。

父の時代から60年間使い続けてきた整経台。使いにくい部分をすべて改良し、今は快適な整経作業ができるようになりました。
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by kageyama_kobo | 2016-05-29 21:38 | 道具の話