機織り職人の仕事場から…

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影山秀雄 織りもの展 “手機で織る藍の布”

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今年最初の作品展は二年ぶり三回目の八ヶ岳倶楽部です。展示会場は“ステージ”と呼ばれる緑の森の中の建物で、天気が良ければ初夏の風が吹き抜けるとても気持ちのいい場所です。

今回は“藍の布”をテーマに行います。
工房の染め小屋には私の祖父と伯父(紺屋職人)が使った藍甕があり、この甕で北海道産の蒅を原料に藍を建てます。“藍”という染料は木綿や麻と相性が良く、上手く建てた藍甕からは鮮やかさと暖かさの感じられる青色を染めることができます。

染め上げたばかりの藍には鮮やかさと力強さがあります。キリッとした青は化学染料が発達する前の時代には我々の身にまとう衣類に最も多く使われてきました。色が氾濫する現代にあってもこの“藍の色”が魅力的に感じられるのは、藍の布を身にまとっていた時代の日本人のDNAがいまだに我々の体の中に引き継がれているからなのだと思います。

“藍染めの布”の魅力は使いながら変化していく色と風合いにあると考えています。
使い始めの藍の布には染料によって繊維が締るため“硬さ”や“張り”が感じられます。しかし使い続け洗い続けていくうちに繊維がほぐれ、布の素材本来の風合いが出てきます。

“洗濯”も藍の色を変化させる大きな要素です。水をくぐるたびに藍の中に含まれる“アク”が抜けていきます。洗液には茶色いアクが溶け出し、洗われた布の青色はその度に澄んでいきます。
洗う度に色褪せながらもはきやすく愛着の湧いてくるブルージーンズの青は、自然の藍の色を科学的に合成して作られたもの・・・とお話しすると分かっていただけると思います。

藍の色を活かした布は私のところの定番の製品で、のれん・タピストリー・テーブルマット・コースターなどを中心に展示します。
それ以外にもカシミヤのミニマフラー、ヤクのマフラー、与那国蚕のマフラーなど今まで工房で織り続けてきた製品の新作が並びます。
さらにはこの会場では初めて、我が工房の本来の仕事である“紬の反物と帯”もご覧いただきます。

会場には毎日私がいます。梅雨の終わりの頃、高原の気持ちのいい空気を吸いにお出かけください。

お待ちしています。
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by kageyama_kobo | 2016-06-23 09:53 | 発表の場

“麻のれん”の仕上げ作業

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私の住む静岡県は一昨日が梅雨入りでした。それでも今年は6月は空梅雨との事で、今日は朝から晴天です。

昨日織り上げた“麻のれん”ですが、仕上げ作業はてっきり天気待ちかと思っていたら思いがけず太陽が顔を出してくれたので、空模様が悪くなる前に大慌てでやりました。
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我が家の麻布の仕上げは、まず布を水に漬けてしっかりと水分を含ませた後“張り手”という道具を使って庭に布を張ります。
そして布が乾く前に布全体の両耳を引っ張って幅出しをします。
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細糸で麻布を織る場合は耳がきれいに織れるように両耳の経糸のそれぞれ8本ほどを筬に“混み挿し”にします。このようにして織ると両耳が若干突っ張ったように織り上がるので、この段階で両耳を縦方向に引っ張って布の両耳と真ん中(矢印)が平らに乾くように手を加えます。

麻糸は私にとってはとても気難しい糸で、下手に織ると耳が波打ったり突っ張ったりするので気が抜けません。麻らしいシャキッとした布に仕上がるよう最後の丁寧な仕上げは欠かせないのです。
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by kageyama_kobo | 2016-06-08 23:09 | 仕事のコツ