機織り職人の仕事場から…

七色の糸を染める

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現在準備をしているのは単衣で着られる紬の反物です。柄はベージュの地に七色の縞模様。

私はこの七色の糸を二釜(色ごとに染色する釜のお湯を入れ替えることなく)で染めます。
今回はこの染め方のお話しをしましょう。

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写真左側の絞り棒に掛かった糸の中で、一番左側の薄茶色の糸が渋木とカテキューを混ぜて
下染めした経糸用の玉糸です。

この糸に化学染料を上掛けすることで七色すべてを染め上げます。


①黄色…新しい染液に黄色と黄茶の染料を溶いて深みのある黄色を染めます。
        ↓
②オレンジ…黄色を染めた染液に赤と黄色の染料を加えて柿の実の色に染めます。
        ↓
③赤…オレンジを染めた洗液に赤と赤茶の染料を加えて渋めの赤を染めます。
        ↓
④茶…赤を染めた染液に緑の染料を加えて赤味を抑え、さらに茶色の染料を加えて染めます。
        ↓
⑤紫…茶を染めた染液を1/3ほど捨て、水を加えて加熱。そこに紫の染料を加えて染めます。

ここまで一釜で5色の糸が染まりました。

紫の色素が残った染液できれいな青を染めるのは不可能なのでこの染液はここで捨てます。
次に新たに釜にお湯を沸かして


⑥青…青と緑と茶の染料を混ぜてコクのある青に染めます。
        ↓
⑦緑…青を染めた染液に黄色・緑・茶の染料を加えて深い緑色を染めます。


という訳で、二釜で七色の糸が染まりました。

それぞれの色をきれいに出すコツは、色ごとに染料を糸にしっかり吸収させることです。
色素の吸収を促進させる酢酸の量と染液の温度管理、さらにはムラ染めにならないよう糸繰りを
丁寧に行うことでこの連続染めは可能となります。

この方法を使うと、時間・燃料・水・染料などあらゆる面で効率よく糸を染めることができます。









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# by kageyama_kobo | 2017-11-09 23:04 | 色があり柄があり…

素材の違う経糸で…


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一年振りに広幅の機を組み立てました。
お客様の注文で、私にとっては2作目の服地を織るためにです。

織り幅は91㎝あるので、端から端まで杼をきれいに飛ばすのには少々練習が必要でした。
両手をいっぱいに広げて、手首と指先のスナップを効かせて杼を投げます。

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この注文の面白いところは、色ごとに違う素材の経糸を使っていることです。

・青とピンクは絹
・緑は木綿
・白は麻

依頼主のイメージは、
青は海の色・緑はその海に浮かぶ島の木々の色・白は砂浜の色・ピンクは海岸に咲く花の色。
モチーフに合わせて素材と色を選びました。

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経糸の種類が違うという事は糸ごとに弾力や収縮率が違うという事で、
今機の上に掛かっている布は一応平らに見えているのですが、
この布を糊落としのために水を通したら、たぶん波打ってくるのではと想像します。

私の頭の中にはありえないこの糸使い。
お客様の想像力をお借りして、初めての実験をさせていただいています。

どんな布になるのかは、仕上げてからのお楽しみです。







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# by kageyama_kobo | 2017-10-31 01:24 | 染めと織りの素材

経糸の大管巻き

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今日は紬の反物を織るための経糸の準備をしています。
写真は大管巻きをしているところです。

着尺の大管巻きは半日から一日仕事になります。そこで私の仕事場には管巻き用に床に掘り炬燵のような穴を開けてあります。正座やあぐらではなく椅子に腰掛けた姿勢で作業ができるので、長時間の仕事が楽に行えます。

糸巻きの錘(ツム)の近くには重さ約5キロの分銅を置きます。振動で糸巻きが動くのが防げます。

糸巻きの向こうには“そろばん”を置きます。巻き数を記録したり、作業途中にこの場を離れる時の数の記憶用です。

織物は根気のいる作業が多いので、体の負担や作業効率を考えていろいろな工夫をするのです。




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# by kageyama_kobo | 2017-09-26 23:32 | 仕事場の風景

マスクメロンがモチーフ

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「マスクメロンをモチーフにした布を織って欲しい」という依頼を受けました。
「用途はどんな布でしょうか?」と尋ねると「ストールやその他いろいろ…」との事。

最初にイメージが浮かんだのはマスクメロンの網目模様を蓮の糸で織ってみたら面白そうという事。
皮の緑と実のオレンジは絹糸がいいな…と。

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そこで早速、蓮の糸をカセに上げてアク抜きのために精錬します。

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緑とオレンジの絹糸は、以前から糸蔵で出番を待っていた座繰りの太糸を染めました。

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織り方は“模紗織り”。糊付けされた糸は締っているので、機の上ではこのようなサラリとした表情です。

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織り上がった布はフリンジを作り糊落としをします。

糊が落ちると蓮の糸も絹糸もふっくらと本来の風合いを取り戻します。

お客様からアイデアをいただいて、私一人では決して思いつくことのない質感や色使いの個性的な布が織り上がりました。





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# by kageyama_kobo | 2017-08-29 21:02 | 色があり柄があり…

始まりました! 八ヶ岳倶楽部 作品展

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いよいよ本日(8月3日)、山梨県の八ヶ岳南麓にある八ヶ岳倶楽部にて
影山秀雄 手機で織る藍の布”が開会しました。

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会場となるギャラリーの入り口正面には生成り地に藍染めの“螺旋”ののれんを吊って
お客様をお迎えします。

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今回は“ブース展”ということで展示スペースは広くないのですが、
藍染めの作品をメインにギュッと引き締まった展示ができたと思っています。

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定番のテーブルマット類。
最近藍の染まりが良いので青の濃淡が清々しく並びます。

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夏のアイテム・手紡ぎ木綿のストール類。
生成り色をメインに自然な綿の色や植物染料の色が優しい雰囲気を作っています。

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年間を通じて人気のあるジュートマットです。
今頃の季節に裸足で踏むと気持ちのいいマットなので、今回は色を3色・長さ3種類で作ってきました。

標高1360mに位置する八ヶ岳倶楽部は8月のこの季節も暑さ知らずの別天地です。
高原の緑と冷たい空気がお待ちしています。


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# by kageyama_kobo | 2017-08-03 21:50 | 発表の場