機織り職人の仕事場から…

機の入れ替え

f0175143_21253172.jpg蓮糸の服地を織るのに活躍してくれた広幅の機。使命を果たした後は次の仕事の機会が訪れるまでしばらくお休みしてもらいます。

f0175143_21254954.jpg今日の午後一番に解体を始め、3時休み過ぎにはこの通り。

f0175143_21260584.jpgそう広くはない我が家で解体した機をどこに置くべきか相当悩みましたが、仕事場の壁に積み上げるように収納することを決定。

あれだけ大きく感じていた機でしたが、解体してみると「たったこれだけ?」と思うくらいコンパクトになってしまいました。

f0175143_21261940.jpgその後は通常使う着尺機を組み立て、今日の午前中に筬通しまでしておいた次の仕事の“黒無地の紬反物”を織りつけました。


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# by kageyama_kobo | 2016-09-10 22:07 | 仕事場の風景

蓮糸100%の服地…いよいよ織り始め!

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今月に入ってから準備を始めた“蓮糸100%の服地”。試し織りを経て本番に向けての不安材料を一通りクリアーした準備が終わり、いよいよ昨日から織り始めました。

綜絖や踏み木を結ぶ紐などはすべて新調したため、織り始めはこれらが少しづつ伸びてくるので調整に時間がかかりました。綜絖や筬塚の位置や高さも、実際に織りながら体に合わせて調整していきます。

これだけの広幅の機に座るのは学生時代以来なので、実に40年振りです。

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綜絖の幅は90㎝。今まで織っていた小幅の綜絖と比べると、シャトルが楽に走るための開口を得ようとすると、踏み木を踏み込む力は倍以上必要だという事を実感しました。そして90㎝の織り幅の経糸の間にシャトルを途中で止まることなく投げるコツをつかむまでしばらく時間がかかりました。

仕事場にはエアコンも入っているのですが、それでも汗がにじんでくるのでねじり鉢巻きで織っています。

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経糸を木枠に巻く段階で節や結びこぶを丁寧に取り除いておいたので、試し織りよりもはるかにきれいに織り上がったように感じます。同時に経糸の切れる回数も少なく(それでも結構切れる)、体が機に慣れるほどに織りのリズムもつかめて、作業が楽しくなってきます。

真ん中に置いてあるデニムの布は、少々膨らんできた私の腹部が織り上がった布とこすれるのを防ぐためのものです。同時に握りハサミなど小さな道具の置き場所にもなりました。

これから幾日間か“織っては切れた経糸をつなぎ…”を幾度となく繰り返す修行の日々が続きます。
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# by kageyama_kobo | 2016-08-24 22:20 | 仕事場の風景

蓮の糸を織る…最も重要な工程

f0175143_9321777.jpg蓮の糸100%で織る服地。いよいよ本番が始まりました。
経糸は整経長6m・糸数1400本、総延長は8400mにもなります。

糊付けの終わった糸を整経するために木枠に巻き取るのですが、この時点で今後糸のトラブルにつながる要素をすべて取り除かなくてはなりません。

なぜなら機にセットした経糸にはテンションがかかっているため、節や結びこぶを取り除いたり糸を結びなおしたりの作業がとてもやりにくくなるからです。

f0175143_9345297.jpg木枠を巻く座車のハンドルを右手でゆっくり回し、左手の親指と人差し指に神経を集中して糸の節や結びこぶを探します。

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となりの糸に絡みつきそうな遊び糸や筬に引っかかりそうな大きな結びこぶ・ゴミ・節などを丁寧に取り除いておくことで織りの作業が快適にでき、さらに織り上がった布もきれいに仕上がります。

f0175143_9364197.jpg取り外した節糸や切り取った結びこぶなどが半日でこんなに足元に溜まります。

f0175143_9365865.jpg経糸の本数が多いので今回は3回に分けて整経をします。

昨日の朝から夜までかかって全体の1/3の経糸を木枠に巻き整経まで行いました。すべての経糸の整経が完了するのにはあと二日必要です。




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# by kageyama_kobo | 2016-08-19 10:01 | 染めと織りの素材

仕事場に新しい機が仲間入り

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我が家の仕事場に織り幅90センチの機が仲間入りしました。以前から広幅の機は欲しかったのですが、これを置くと仕事場が狭くなる事からためらっていたのです。しかし、この度服地の注文を受けた事をきっかけに導入を決心しました。

この機は知人宅で何年も使われていなかったものです。金属部分に錆が出たり、今まで使っていた機とは構造が違い私には使いにくい部分が何か所かあったため、お盆休み返上で機の改造に取り組みました。

仕事場が狭くなる事への対策として、この機を使っている間はいつも使っている機は解体して仕事場の隅っこで休憩してもらうことにしました。
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まず最初に行ったのは踏み木の取り付けです。機に座ると向こう側に根元のあった取り付け部分を固定器具を新調して手前のかかとの位置に付け替えました。
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その踏み木には、綜絖から降ろしてきた紐が結ばれるのですが、この紐の位置が使っている最中にに移動しないよう溝を刻みました。
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長い間放置されていたろくろの軸は錆び付いて動きが悪かったため、サンドペーパーで錆を取り除き蝋を塗って動きを滑らかにします。手で回すと軽やかにクルクル回るくらいが理想です。
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長さ90センチの筬が入る筬塚ですが素材の所為か大きさの割りに重さが足りないように感じました。そこで、ストックしておいたケヤキの板をウエイトとして取り付け筬塚を重くしました。
緯糸をしっかり打ち込む私の織り方には軽い筬塚は向いていません。我が家では昔から鉄の棒や硬い木を筬塚に取り付けて、軽い力でもしっかり筬が打ち込めるようにしています。
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筬塚の高さを調節する部分です。改良前はヒモを掛けるギザギザの背側に幅広の板を取り付け、機織りの最中に筬塚から手を離すと筬が自然に織り際から離れるような仕掛けになっているのですが、私にはこの吊り方は使いにくいので背側の板を薄くしました。
こうする事で経糸を最後の最後まで織りつめるのに有利になります。
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筬塚の前後の位置を決める溝が使いたい部分に無かったため、ここに新たに細かく溝を刻みました。筬塚の位置は織る時の姿勢に大きく影響するため、細かく調整できるようにしたかったのです。
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菊を固定する棒を上方に引っ張るためのバネが錆びていました。私はこのバネの感触が嫌いなので、代わりに分銅を使って棒を引っ張るように変更しました。

私は自分の使う道具は常にベストコンディションを維持できるよう心掛けます。ストレスのない仕事環境はいい布を織るための絶対必要条件だと考えます。
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# by kageyama_kobo | 2016-08-14 01:23 | 道具の話

蓮の糸100%の布

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蓮の糸100%で織る布の注文が入りました。今回の依頼は服地です。
初めて使う糸ということで、まずは糸の太さを確認しながら筬を選び試し織りをします。
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手紡ぎの糸なのでご覧のように太さは不規則です。引っ張り強度が弱い上に毛羽があったり抜け切れしやすかったりとかなり曲者の糸です。従って織りながらも経糸はよく切れます。切れたら糸の細い部分でつないで結びコブが筬に掛からないように気を使います。
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織り上がった部分は自然の生成り色が重なり合って独特の色合いです。

機から降ろしたら糊落しをして、最終的に風合いの確認をします。
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# by kageyama_kobo | 2016-08-06 23:16 | 染めと織りの素材