機織り職人の仕事場から…

蓮の糸100%の布

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蓮の糸100%で織る布の注文が入りました。今回の依頼は服地です。
初めて使う糸ということで、まずは糸の太さを確認しながら筬を選び試し織りをします。
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手紡ぎの糸なのでご覧のように太さは不規則です。引っ張り強度が弱い上に毛羽があったり抜け切れしやすかったりとかなり曲者の糸です。従って織りながらも経糸はよく切れます。切れたら糸の細い部分でつないで結びコブが筬に掛からないように気を使います。
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織り上がった部分は自然の生成り色が重なり合って独特の色合いです。

機から降ろしたら糊落しをして、最終的に風合いの確認をします。
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# by kageyama_kobo | 2016-08-06 23:16 | 染めと織りの素材

影山秀雄 織りもの展 手機で織る藍の布

f0175143_2272139.jpg八ヶ岳倶楽部の作品展が7月7日より始まりました。私は片道1時間45分の道のりを毎日車で通っています。

早速ブログにアップしようと思っていたのですが、初日にギャラリーにカメラを忘れ、2日目は雑用に時間を取られて入力する時間がなく、3日目以降は連日の立ち仕事と往復200キロの運転の疲れがたまって集中力ゼロ…という事で、皆様へのお知らせは週が明けた今日になってしまいました。

f0175143_227516.jpg今回のテーマは“藍の布”。そこで、入り口正面には我が家で30年間織り続けている藍と生成りを基調とした卓布のコーナーを設けました

f0175143_2281039.jpg窓際には、これも定番の“麻のれん”を吊りました。

少し開けた窓から入る風にゆったりと揺れる様子が展示に動きを与えて何とも嬉しいです。

藍色に透けて見える森の緑はこの会場ならではのもの。

f0175143_2282836.jpg壁面には今の季節に似合う浅葱と生成りを基調とした模紗織りの大きなタピストリー。

f0175143_229194.jpg八ヶ岳倶楽部での作品展は今回で3回目。ここでは初めての紬の反物と帯も並びます。

f0175143_2291818.jpg手触りの優しい手紡ぎ木綿のマフラーやストールのコーナー。

f0175143_2294353.jpgこちらはカシミヤ。「夏なのにカシミヤ?」と思われるでしょうが、小さなネックウェアは冷房対策にも重宝なアイテムです。

今回のために新柄を11種類追加しました。

f0175143_2210217.jpg季節柄さらっとした感触の麻のマットが欲しくて、こちらも新作を展示しました。

f0175143_22104072.jpg足の裏が喜ぶジュートマットは夏の玄関マットやバスマットとしていつも人気者です。

f0175143_2211498.jpg八ヶ岳倶楽部は平日といえども常にどこかにお客様の姿があります。ショッピングや食事、そして何よりもこの森の散策を楽しまれています。

私の会期は残すところあと2日。

標高1360mの高原の空気を胸一杯吸いに来て下さい。
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# by kageyama_kobo | 2016-07-11 22:51 | 発表の場

影山秀雄 織りもの展 “手機で織る藍の布”

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今年最初の作品展は二年ぶり三回目の八ヶ岳倶楽部です。展示会場は“ステージ”と呼ばれる緑の森の中の建物で、天気が良ければ初夏の風が吹き抜けるとても気持ちのいい場所です。

今回は“藍の布”をテーマに行います。
工房の染め小屋には私の祖父と伯父(紺屋職人)が使った藍甕があり、この甕で北海道産の蒅を原料に藍を建てます。“藍”という染料は木綿や麻と相性が良く、上手く建てた藍甕からは鮮やかさと暖かさの感じられる青色を染めることができます。

染め上げたばかりの藍には鮮やかさと力強さがあります。キリッとした青は化学染料が発達する前の時代には我々の身にまとう衣類に最も多く使われてきました。色が氾濫する現代にあってもこの“藍の色”が魅力的に感じられるのは、藍の布を身にまとっていた時代の日本人のDNAがいまだに我々の体の中に引き継がれているからなのだと思います。

“藍染めの布”の魅力は使いながら変化していく色と風合いにあると考えています。
使い始めの藍の布には染料によって繊維が締るため“硬さ”や“張り”が感じられます。しかし使い続け洗い続けていくうちに繊維がほぐれ、布の素材本来の風合いが出てきます。

“洗濯”も藍の色を変化させる大きな要素です。水をくぐるたびに藍の中に含まれる“アク”が抜けていきます。洗液には茶色いアクが溶け出し、洗われた布の青色はその度に澄んでいきます。
洗う度に色褪せながらもはきやすく愛着の湧いてくるブルージーンズの青は、自然の藍の色を科学的に合成して作られたもの・・・とお話しすると分かっていただけると思います。

藍の色を活かした布は私のところの定番の製品で、のれん・タピストリー・テーブルマット・コースターなどを中心に展示します。
それ以外にもカシミヤのミニマフラー、ヤクのマフラー、与那国蚕のマフラーなど今まで工房で織り続けてきた製品の新作が並びます。
さらにはこの会場では初めて、我が工房の本来の仕事である“紬の反物と帯”もご覧いただきます。

会場には毎日私がいます。梅雨の終わりの頃、高原の気持ちのいい空気を吸いにお出かけください。

お待ちしています。
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# by kageyama_kobo | 2016-06-23 09:53 | 発表の場

“麻のれん”の仕上げ作業

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私の住む静岡県は一昨日が梅雨入りでした。それでも今年は6月は空梅雨との事で、今日は朝から晴天です。

昨日織り上げた“麻のれん”ですが、仕上げ作業はてっきり天気待ちかと思っていたら思いがけず太陽が顔を出してくれたので、空模様が悪くなる前に大慌てでやりました。
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我が家の麻布の仕上げは、まず布を水に漬けてしっかりと水分を含ませた後“張り手”という道具を使って庭に布を張ります。
そして布が乾く前に布全体の両耳を引っ張って幅出しをします。
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細糸で麻布を織る場合は耳がきれいに織れるように両耳の経糸のそれぞれ8本ほどを筬に“混み挿し”にします。このようにして織ると両耳が若干突っ張ったように織り上がるので、この段階で両耳を縦方向に引っ張って布の両耳と真ん中(矢印)が平らに乾くように手を加えます。

麻糸は私にとってはとても気難しい糸で、下手に織ると耳が波打ったり突っ張ったりするので気が抜けません。麻らしいシャキッとした布に仕上がるよう最後の丁寧な仕上げは欠かせないのです。
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# by kageyama_kobo | 2016-06-08 23:09 | 仕事のコツ

新しい整経台

f0175143_20241158.jpgこの度の仕事場のリフォームに合わせて整経台も新調しました。サイズは以前のものとほぼ同じですが、あちこちに改良を加えてあります。
今回は少々長くなりますが、この整経台を紹介します。

一番の改良点は、今までのものは据え置き型だったのに対して新しい整経台は折り畳み式にしました。使用しない時に仕事場の床を広く使うための苦肉の策です。

f0175143_20242914.jpg整経を行なう時は“管立て”を手前に傾け、整経台を起こして足を取り付け斜めに固定します。

f0175143_20244732.jpg整経台の木枠は4か所の蝶番で壁に固定してあります。

f0175143_20245979.jpg足は手前左右の角に柱を立て、それぞれ蝶ネジ一本で固定します。きゃしゃに見えますが木枠ががっちり作られているので少々触ったくらいではビクともしません。

この足の部分と壁に蝶番で止めてある部分は以前の整経台の木材を使っています。先輩が後輩をがっちり支えてくれています。

f0175143_20251427.jpg経糸を掛ける“駒”は竹を削って作りました。頭の部分は握りやすいように四角に、根元の部分は糸が自然に曲がるように丸くしてあります。

整経の作業中、時に使わないとなりの駒が邪魔になることがあります。そんな時は取り外すことができるよう抜き差し自由にしてあります。

f0175143_20252877.jpg整経台を使わない時、長い“綾取り棒”は邪魔になるので、これはネジ式にして取り外せるようにしました。

f0175143_20254130.jpg実際に使う時はこのようになります。

f0175143_20255876.jpg木枠の左上の隅にヘラ状の竹で“糸休め”を作りました。

整経の最中に糸を替える時、電話に出る時、トイレに行く時、玄関に宅急便が来た時、ここに糸をはさんでおけば糸を緩めないで手を放すことができます。

f0175143_20261336.jpg整経が終わったら残った糸を切り離すために、私はいつからかこの位置に少し大きめの“握りハサミ”を置くようになりました。

作業中に結び目を直したり糸の節を取ったりする時も、この場所にハサミがあるととても重宝します。

f0175143_20262545.jpg整経が終わったらまずヒモで綾を取ります。

f0175143_20264040.jpg次に麻ヒモで最後の部分をきっちりと結びます。

f0175143_2027024.jpg麻ヒモで結んだところを左手で持ち、綾取り棒の左側の部分の糸を右足で踏みつけ(普通の方はこの部分は軽くヒモで結んでおくとよいでしょう)、刃の反った小刀でザクッと切り離します。

この部分は小刀の刃が何回も当たるので深く掘れてしまいます。それを防ぐためにカッターナイフで紙などを切る時に下に敷くカッティングマット(緑の部分)を小さく切って埋め込んであります。

f0175143_20271376.jpg糸を切る場所のすぐ上の駒だけは鉄の棒(五寸釘)の頭を丸く磨いたものを使います。最後に整経台から経糸を外す時、先ほど麻ヒモで結んだ端の部分を二つに裂いてこの駒に刺せば、糸の束の終わりの端が簡単に固定できます。

父の時代から60年間使い続けてきた整経台。使いにくい部分をすべて改良し、今は快適な整経作業ができるようになりました。
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# by kageyama_kobo | 2016-05-29 21:38 | 道具の話