機織り職人の仕事場から…

絞り棒

      糸の染色をした後、濡れた糸を絞るのには専用の絞り棒があると便利です。
      我が家の絞り棒は直径が7~8㎝のヒノキの棒で出来ていて、糸を掛けたり外したりが簡単に出来るように、
      柱に溝を掘って棒の両端をこの溝に落としこむように作ってあります。
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      写真は染め上がった糸に糊付けをして絞っているところです。
      仕事をしているのは私の父にして師匠でもある利雄(92歳)。流石にこの歳になると細い糸を扱ったり細かな計算は
      苦手になりますが、糸染めや経糸を機に掛ける準備などは普通にこなす現役の機織り職人です。
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      手に握る竹の棒に体重を掛けて最後まで絞りきるその時まで、糸をまっすぐに保つのには少々年季が要ります。
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# by kageyama_kobo | 2008-06-07 12:59 | 道具の話

機草(はたくさ)

      機の部品で経糸(たていと)を巻いておく部分を『千切り(ちきり)』とか『緒巻き(おまき)』と呼びます。
      布を織るために必要な本数と長さに揃えられた経糸は、この『千切り』を芯にして何重にも巻きつけられるのです。
      この時、先に巻いた糸に上の糸が食い込むのを防ぐために一緒に巻き込まれる紙の事を『機草』と呼びます。
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      巾の狭い(写真は織り巾11センチのコースター)布を織る時に使用する『機草』は、いただき物のお菓子やタオル
      などが入っていたボール紙の箱を開いて作ります。
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      着尺やのれんなどの織り巾が40センチ前後の布を織る場合には『機草』に新聞紙を使います。
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      新聞紙は片方の耳を三つ折りにして、この折り目が右と左の交互になるように巻き込んでいきます。
      三つ折りの部分が厚くなるので、上に巻きつく糸の耳の崩れを防いでくれます。

      身近なものを便利な道具として利用する、先人の知恵です。
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# by kageyama_kobo | 2008-06-05 20:25 | 道具の話

パッチワークの紬の半纏

        唐桟縞の仕事が一区切り付いた母が「半纏でも作ってみるかねー」と言って、古い紬の見本布を持ち出した。
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        ミシンで縫いつないで、型紙で目印を入れ、切って、色を見ながら組み替えて、それをまた縫い合わせて・・・
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        色柄がきれいだったので取っておいた縮緬の着物を裏地に使って…
 
        世界に一枚だけの半纏が出来ました。
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# by kageyama_kobo | 2008-06-03 22:05 | 色があり柄があり…

白い帯が教えてくれたこと

       学生時代に一週間だけ恩師の工房(織物工房)でアルバイトをしたことがありました。
       始めてお邪魔する工房に入ると奥さんが笑顔で迎えてくれました。

       さて、どんな仕事をしたらいいんだろうと工房の中を見回していると、
       恩師は「影山、これを織ってくれ。」と言って白い帯を仕掛けた機を指差しました。

       「学生の自分にいきなり帯なんか織らせてもいいんですか?」と伺うと
       「まあ、やってみろ。」とおっしゃる。

       高校時代から我が家で機を織っていたのでずぶの素人ではなかったにしても、
       やはり他人の作品として世の中に出て行く品物を自分の手で作ってしまっていいものなのかと
       結構ためらいがありました。

       それでも何もしないわけにはいかないので恩師の指示通りに緯糸を準備して織り始め、
       一週間の間に仕掛けてあった帯二本を織り終えたのでした。


       それから一年後、恩師と会話をしている中で
       「ところでなぁ、お前が去年織ったあの帯なぁ・・・汚れていたところがあったぞ。」
       「まぁ、女房が締めるからいいんやけどな・・・」

       「しまった!」と瞬間思いました。
       白い帯なので気をつけて、時々手洗いをしながら織ったつもりだったのですが、
       気が緩んだ時があったのか、手の汚れを帯に付けてしまったのでした。

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       その教訓から、白い(色の薄い)布を織る時には機に座る前に必ず手を洗うことを心掛けています。
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# by kageyama_kobo | 2008-06-02 12:55 | 仕事場の風景

プロの必需品 『杼箱(ひばこ)』

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能率よく機を織るためには常に自分の手の届くところに杼を置ける場所が必要となります。同時に仕事中頻繁に使用する小道具を置いておける場所があると便利です。通常の『杼箱』の中身は『杼』『握りバサミ』『小さなものさし』『まち針』くらいで余計なものは置きません。(この日は織り付けの作業を行ったので『割り竹』と『櫛』も入っています)

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織り手前の布の上に杼を置くという人もいますが、頻繁に杼を持ち替える織り方をする場合には手に余計な動きをさせてしまいます。我が家では機の左右の織り手が手を伸ばせば簡単に杼を握れる位置に『杼箱』を取り付けてあります。
写真正面下にある籠には緯糸を巻いた管を入れます。
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# by kageyama_kobo | 2008-05-28 13:35 | 仕事場の風景