機織り職人の仕事場から…

白い帯が教えてくれたこと

       学生時代に一週間だけ恩師の工房(織物工房)でアルバイトをしたことがありました。
       始めてお邪魔する工房に入ると奥さんが笑顔で迎えてくれました。

       さて、どんな仕事をしたらいいんだろうと工房の中を見回していると、
       恩師は「影山、これを織ってくれ。」と言って白い帯を仕掛けた機を指差しました。

       「学生の自分にいきなり帯なんか織らせてもいいんですか?」と伺うと
       「まあ、やってみろ。」とおっしゃる。

       高校時代から我が家で機を織っていたのでずぶの素人ではなかったにしても、
       やはり他人の作品として世の中に出て行く品物を自分の手で作ってしまっていいものなのかと
       結構ためらいがありました。

       それでも何もしないわけにはいかないので恩師の指示通りに緯糸を準備して織り始め、
       一週間の間に仕掛けてあった帯二本を織り終えたのでした。


       それから一年後、恩師と会話をしている中で
       「ところでなぁ、お前が去年織ったあの帯なぁ・・・汚れていたところがあったぞ。」
       「まぁ、女房が締めるからいいんやけどな・・・」

       「しまった!」と瞬間思いました。
       白い帯なので気をつけて、時々手洗いをしながら織ったつもりだったのですが、
       気が緩んだ時があったのか、手の汚れを帯に付けてしまったのでした。

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       その教訓から、白い(色の薄い)布を織る時には機に座る前に必ず手を洗うことを心掛けています。
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# by kageyama_kobo | 2008-06-02 12:55 | 仕事場の風景

プロの必需品 『杼箱(ひばこ)』

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能率よく機を織るためには常に自分の手の届くところに杼を置ける場所が必要となります。同時に仕事中頻繁に使用する小道具を置いておける場所があると便利です。通常の『杼箱』の中身は『杼』『握りバサミ』『小さなものさし』『まち針』くらいで余計なものは置きません。(この日は織り付けの作業を行ったので『割り竹』と『櫛』も入っています)

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織り手前の布の上に杼を置くという人もいますが、頻繁に杼を持ち替える織り方をする場合には手に余計な動きをさせてしまいます。我が家では機の左右の織り手が手を伸ばせば簡単に杼を握れる位置に『杼箱』を取り付けてあります。
写真正面下にある籠には緯糸を巻いた管を入れます。
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# by kageyama_kobo | 2008-05-28 13:35 | 仕事場の風景

綜絖と綜絖通し

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       織物で経糸(たていと)を一本ごとに上下させる仕掛けの部分を『綜絖(そうこう)』と呼びます。
        『綜絖』は長さ30cmほどの細い針金の中心部分に糸の通るリングがあり、この針金が必要な本数だけ
       並べられてフレームで固定されています。

       この『綜絖』に糸を通す作業を『あすび掛け(綜絖通し)』と呼び、細い針金の真ん中の穴にすべての経糸を
       一本づつ通さなくてはなりません。経糸を一本づつ差し出す人と、細いフックを穴に通してその糸を
       引っ掛けて引き抜く人との二人がかりの作業です。
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        この仕事に使用する『針』(糸を引き抜くための細いフック)は、自分の手に合わせて自作します。
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       使用する経糸の太さに合わせて、何種類かの『針』を使い分けるのです。

       我が家で紬(着物の生地)を織る場合、経糸の本数は1,200本でした。
       私が小学校二年生の時に始めて糸を差し出す作業を手伝いましたが、子供の私には根気が続かず
       三分の一ほどでギブアップした想い出があります。 それでも三年生になった時に1,200本すべてを
       通し終える事ができ、この時始めて一つの仕事をやり遂げた達成感を味わったように記憶しています。
       現在では以前よりも細い経糸を使うようになったため糸の本数は1,360本になりましたが、二人がかりで
       二時間弱の作業です。
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# by kageyama_kobo | 2008-05-24 20:57 | 道具の話

縞帳

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       最近は目に触れることも無く箪笥の中で眠っていた紬の端布たち。すべて我が家で織ったものだから
       「この縞は○○さんが着てくれた…」 「この色を出すのに苦労したなー」などと一枚ごとに想い出が蘇ります。
       そんな色柄を眺めているうちに「これを縞帳に作ろう!」と思い付きました。
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       縞、格子、絣などと仕分けをして、柄の大きさなどでまた分けて…
       どうして作ったらいいだろう?」と相談を持ちかけた画材屋の友人が、台紙から布を張る糊まで心配してくれました。
       お客様に見せる見本帳に、そして新しい柄を考えるデータベースに。
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# by kageyama_kobo | 2008-05-18 22:35 | 色があり柄があり…

糸いろいろ

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               影山工房では絹、木綿、麻などの繊維を素材として使います。
               絹は主に身にまとうものを…
               木綿は身につけるものやテーブルマットなど…
               麻ではマットやのれん、タピストリーなどを作ります。
               いずれの繊維を使うときも素材の質感を最大限活かす事を心がけます。
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# by kageyama_kobo | 2008-05-16 20:21 | 染めと織りの素材