機織り職人の仕事場から…

綜絖と綜絖通し

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       織物で経糸(たていと)を一本ごとに上下させる仕掛けの部分を『綜絖(そうこう)』と呼びます。
        『綜絖』は長さ30cmほどの細い針金の中心部分に糸の通るリングがあり、この針金が必要な本数だけ
       並べられてフレームで固定されています。

       この『綜絖』に糸を通す作業を『あすび掛け(綜絖通し)』と呼び、細い針金の真ん中の穴にすべての経糸を
       一本づつ通さなくてはなりません。経糸を一本づつ差し出す人と、細いフックを穴に通してその糸を
       引っ掛けて引き抜く人との二人がかりの作業です。
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        この仕事に使用する『針』(糸を引き抜くための細いフック)は、自分の手に合わせて自作します。
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       使用する経糸の太さに合わせて、何種類かの『針』を使い分けるのです。

       我が家で紬(着物の生地)を織る場合、経糸の本数は1,200本でした。
       私が小学校二年生の時に始めて糸を差し出す作業を手伝いましたが、子供の私には根気が続かず
       三分の一ほどでギブアップした想い出があります。 それでも三年生になった時に1,200本すべてを
       通し終える事ができ、この時始めて一つの仕事をやり遂げた達成感を味わったように記憶しています。
       現在では以前よりも細い経糸を使うようになったため糸の本数は1,360本になりましたが、二人がかりで
       二時間弱の作業です。
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# by kageyama_kobo | 2008-05-24 20:57 | 道具の話

縞帳

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       最近は目に触れることも無く箪笥の中で眠っていた紬の端布たち。すべて我が家で織ったものだから
       「この縞は○○さんが着てくれた…」 「この色を出すのに苦労したなー」などと一枚ごとに想い出が蘇ります。
       そんな色柄を眺めているうちに「これを縞帳に作ろう!」と思い付きました。
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       縞、格子、絣などと仕分けをして、柄の大きさなどでまた分けて…
       どうして作ったらいいだろう?」と相談を持ちかけた画材屋の友人が、台紙から布を張る糊まで心配してくれました。
       お客様に見せる見本帳に、そして新しい柄を考えるデータベースに。
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# by kageyama_kobo | 2008-05-18 22:35 | 色があり柄があり…

糸いろいろ

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               影山工房では絹、木綿、麻などの繊維を素材として使います。
               絹は主に身にまとうものを…
               木綿は身につけるものやテーブルマットなど…
               麻ではマットやのれん、タピストリーなどを作ります。
               いずれの繊維を使うときも素材の質感を最大限活かす事を心がけます。
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# by kageyama_kobo | 2008-05-16 20:21 | 染めと織りの素材

握りバサミ

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            織物の仕事の工程で一番お世話になる道具の一つがこの『握りバサミ』でしょう。
            自分の手に馴染むものを選ぶのと同時に、太糸でも極細糸でもスパッと切れることが大切です。
            切れ味が落ちたと感じたら刃を砥ぎます。

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            重なった刃を少しずらしてこのように紐で結ぶと、刃が外側に露出するため砥ぐ事が出来ます。

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            刃の角度をよく確認して『仕上げ砥石』でゆっくりと砥ぎます。
            時々、研いだ刃を爪に直角に当てて表面をかじってみます。
            刃が爪に引っかかって滑らなくなったら、砥ぎは完了です。
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# by kageyama_kobo | 2008-05-15 20:49 | 道具の話

仕事場の床

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        我が家の仕事場の機の脇の床には無数の小さな窪みがあります。
        機を織る時に緯糸(よこいと)を通すための『杼(ひ)』という道具を落とした跡です。

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        めったに床に落とすものではないのに、55年も仕事を続けているとこんなに沢山の落とし跡が…
        この床を眺めていると、今までに織り上げてきた布たちの色や柄が想い出されます。
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# by kageyama_kobo | 2008-05-13 22:21 | 仕事場の風景