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機織り職人の仕事場から…

糸のパレット

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上の写真は我が家で織る帯の経糸の残糸です。
長年同じ糸を使い続けているとさまざまな色の糸が少しづつ残り、
気が付くとこんな分量になっていました。

注文の仕事が一段落したある日、この糸を眺めながら色の組み合わせを考えていた時、
この糸を使って織ってみたい布を思いつきました。

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糸の残量を計算しながら柄をデザインし、なるべく無駄な糸を残さないように整経します。
(写真は整経台の綾取り棒の所)

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整経した糸を並べ変えて縞を作ると上のようになります。
巻き筬を通すと柄が何となく見えてきます。

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今回織り上げたのはこの3種類。裏表柄違いの男帯(角帯)です。
(写真は織り終わりの部分で作った見本布)

一本で二種類の柄が楽しめ、締めた時の結び目にチラッと柄違いの裏が覗きます。
遊び心のあるいい男に締めていただきたいですね。

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この帯を整経する時はかなりきっちりと糸の分量を計ります。
従って残糸はご覧の通りわずかしか残りません。

それぞれの管から3mほどの糸を取り、輪にして8の字に結び染色用の色見本として残します。

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更に残った糸をカセに上げるとご覧のように結びコブだらけです。
この糸を経糸に使うとこのコブが布目に目立って見苦しくなるのでこの糸はもう経糸としては使えません。

「もったいないからどんな糸でも捨てられない」という方がいます。わたしも以前はそうでした。
しかし最近になって「今後使うあてもない糸を保存管理する手間は無駄」と感じるようになり、
糸の種類に関係なく、使う可能性のない糸はためらわず処分することにしました。

お蔭で糸置き場が僅かですがすっきりしたように感じます。






# by kageyama_kobo | 2019-08-11 21:42 | 染めと織りの素材

糸よ、早く乾いておくれ!(簡易乾燥機)

以前ある雑誌で「雪国では温風ヒーターの風をコタツに送るパイプが売られている」という記事を読んだ事があります。私の住む温暖な静岡県には当時このような物はなく「あったら是非欲しい!」とずっと思っていました。そして今年の冬、地元のホームセンターでこのパイプを発見したのです。

それというのは↓このような物を作りたいと思ったからです。
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梅雨のこの季節、染めた糸がなかなか乾かず苦労されている方も多いと思います。
私もジュートマットの準備を始めたものの緯糸が足りないことに気づき慌てて染めたのですが、経糸は機に掛けたもののこの糸が乾かなければ織ることができません。

そこでかねてから構想を持っていた“簡易乾燥機”を作ってみました。
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家にある適当な大きさの段ボール箱の中段に糸が置けるよう、細い竹の棒を並べて刺します。
更にはこの箱に温風を送り込むパイプが入る穴を開けます。
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温風ヒーターからの熱風をパイプに取り込み…。
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その風を段ボール箱の中に送り込むのです。
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風を送り始めたら段ボール箱の蓋を半開きにして水分を外に逃がします。
時々糸を動かしながら、約2時間ほどで仕事ができる程に糸が乾きました。

太陽の光や自然の風が有難いとつくづく思うこの季節です。





# by kageyama_kobo | 2019-07-08 21:33 | 道具の話

経接ぎ(たてつぎ)

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我が家では経糸を接ぐことはめったにないのですが、今回は織る物が経糸の本数が少ない
コースターなので“経接ぎ”を行うことにしました。

私が使う機は長野県飯田市で作られたものです。
綜絖から間丁までの間、張られた経糸とほぼ平行に機の両脇の横木があるため
この横木に板を渡すことで機の上はテーブル状となり、
あらゆる作業がこの上で行えるのでとても便利です。

本来なら空中に綾棒を吊って不安定な体制で行う作業なのですが、この機の構造のお蔭で
椅子に腰掛け平らな板の上で楽な姿勢で作業が出来ます。

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糸の数は184本とそれほど多くはないのですが、それでも一本づつ機結びで接いでいくのには
少々手間がかかります。
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織り終わる経糸と次に織り始める経糸の先端をどちらも真っ直ぐに切り揃えてから結びます。
従ってすべての経糸を接ぎ終えると結びコブはご覧のように一直線に並びます。
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この結び目の部分が綜絖や筬に引っかからないように丁寧に織っていくとご覧のようになります。
一直線だった結びコブの位置が、織り上がった後はかなり不揃いになっています。
経糸は微妙に伸び縮みしながら織られていくことがこれで分かります。

この部分も一枚のコースターに仕上げますが、これは売り物にはしません。
何と言ってもこの一枚には“織り賃”に加えて“経糸のつなぎ賃”も含まれているわけですから、
値段をつけるとかなり高額なコースターとなってしまいます。

そこで、この一枚は我が家でお客様用として使うことにしました。




# by kageyama_kobo | 2019-06-25 22:25 | 仕事場の風景

銀座一穂堂 “麻と蓮展” に出品します 

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この季節恒例となりました銀座一穂堂の“麻と蓮展”が今年も開催されます。
麻や蓮を素材やモチーフとした漆・陶器・布・写真などの作品が、梅雨の季節を涼しげに彩ります。
私は、蓮のストール・マフラー、麻のれん、テーブルマットなどを出品します。
銀座方面にお出掛けの折りには是非お立ち寄り下さい。

影山は6月29日(土)・30日(日)の二日間会場にいます。




# by kageyama_kobo | 2019-06-23 10:43 | 発表の場

“千切り巻き機”を新調

我が家では“整経台”で経糸の準備をし、この経糸を千切りに巻き取る作業は“床巻き”で行います。
経糸が短い場合や糸に節の無いきれいな糸の場合には“床巻き”は準備が簡単でいいのですが、着尺のような長い経糸や玉糸のような節の多い糸を巻き取る場合は不安定な千切りを足や膝で押さえつけながらの作業が長時間続くため、人間の足腰に大きな負担が掛かります。

若い頃には何とも思っていなかったのですが、私も歳を重ねていつの頃からかこの作業が辛く感じるようになってきました。そこで以前から“千切り巻き機”を作る構想を練ってきたのです。

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三年前に自宅と工房をリフォームした際、この道具を設置することを前提に床に穴を開けておきました。
この穴に合わせた寸法で設計し、友人の木工職人の力を借りて“千切り巻き機”を新調したのです。

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構造は千切りを受けるU字型の部分を台座に斜めに取り付けたものを2個作り、片方に千切りの逆転を防ぐ“巻き取りギア”を取り付けただけのシンプルなもの。これを床に固定すれば準備は完了です。

以前父の機で使っていた“巻き取りギア”が再び活躍の場を得ました。

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巻き取る経糸に適当なテンションを得るため、ロッククライミングの道具の“エイト環”を利用しました。

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エイト環とロープの摩擦を利用するとこんな小さな分銅一つの抵抗で十分なブレーキが掛かり、
この分銅が床をズルズルと滑りながら千切りにはきっちりと経糸が巻き取られていきます。

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巻き取りの作業はご覧の通り。床に開けた穴のお蔭で腰掛けた状態で行なえます。楽な姿勢で仕事ができるので今まで大変だった経糸の節取りなどの長時間の作業がもう苦になりません。

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作業が終わったら道具はすべてこの蓋の中に収納し、後はただの平らな床に戻ります。


今日がこの“千切り巻き機”の使い初めでした。

若干の修正点はあるものの使い心地は上々で、
これで私の仕事の中で一番の重労働から解放されることになりました。





# by kageyama_kobo | 2019-06-04 20:10 | 道具の話