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機織り職人の仕事場から…

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影山工房公開講座のご案内

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<<< 16,17 影山工房公開講座のご案内 >>>


影山工房は創業より70年間培ってきた織物のノウハウを次の世代に伝える事を目的として『影山工房公開講座』を開催します。多くの先人たちより伝えられてきた技法や知識に加え、工房の仕事の中から生まれたアイデアなどを織り交ぜて8項目のテーマで講座を開きます。 


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◎静岡県富士宮市の影山工房が会場です。

各講座の定員は5名とします。

◎会期内の受講申し込みは一人3講座まで受け付けます。

        講師 影山 秀雄


<<< 講 座 内 容 >>>

 私の好きな糸の話 (対象:初心者~上級者)

影山工房では絹や木綿に始まり麻,羊毛,野蚕,カシミヤ,ヤク,ハスなど様々な糸を用いて布を織ります。これらの糸と

その糸で織られた布を手に取ってご覧いただきながら、糸の特徴や効果的な使い方など私が感じる糸の魅力について

お話しします。

10月26日(土)定員まであと1名、 11月9日(土)定員まであと2名)


 平織りの可能性 (対象:初心者~上級者)

我が家で織る布はほとんどが平織りです。70年間織り続けてそれでも飽きることのない平織りの魅力とは? 素材を

選び、色を選び、糸の太さや密度を使い分けることで、シンプルな組織の平織りに実は無限の可能性が潜んでいる

ことに気付かされます。私が織った布たちをサンプルに平織りをデザインするためのアイデアを紹介します。

10月26日(土)定員になりました、 ①11月9日(土)定員になりました) 


 私が使う織り道具 (対象:初心者~上級者)

織物の作業には多くの道具が必要です。私が日頃使っている道具たちを紹介しながら、プロの目から見た道具の

選び方・扱い方・メンテナンスの方法などを解説します。講座でお話しするいくつかの方法を実践すれば、今まで

使っていた道具たちが見違えるほど使いやすくなるかもしれません。

(③10月26日(土)定員まであと1名、 ②11月9日(土)定員になりました)


 糸を巻く・糸を計る (対象:中級者~上級者)

糸の扱いは織物の基本中の基本。糸にも織り手にもストレスのない糸の扱い方。個性的で魅力的だけど扱いにくい

糸を何とか織り手の思い通りに扱うためのあの手この手。糸の番手と整経のための計算法。扱いやすいカセ、解き

やすいカセの作り方などを解説します。受講される方は電卓持参でおいで下さい。

(④10月27日(日)定員まであと2名、 ⑥11月10日(日)定員まであと2名)


 縞を作る・柄を創る 対象:中級者~上級者)

粋な縞と野暮な縞。この違いはどこにあるのでしょうか。伝統柄から独創的なデザインの方法まで、私が日頃

応用している縞作りのヒントを紹介しながら美しい縞を作る方法を考えましょう。実際に糸を縞模様に並べる

シンプルで効率的な技法も実演します。

(⑤10月27日(日)定員まであと4名、 ④11月10日(日)定員まであと1名)


 織物に役立つ糸結び・紐結び (対象:初心者~上級者)

織物の素材は糸。そしてその糸を布にする工程の中には“結ぶ”という作業が頻繁に登場します。私が日ごろ仕事で

多用する様々な糸結び・紐結びを実技を交えて紹介します。ほんの数種類の結び方を身に付けることで、織物の

作業がより効率よく行えるようになります。

(⑥10月27日(日)定員まであと2名、 ⑤11月10日(日)定員まであと1名)


※以下の専修講座①②は、影山工房の織物の基本的な部分をご理解いただいた方に、より深く学んでいただくため

講座です。そのため、上記①~⑥の講座をすべて受講した人が受講対象となります。

(ご自身の受講記録を知りたい場合はお問い合わせください)


●専修講座-1 やたら縞を楽しむ (対象:上級者、①~⑥を受講済みの方)

単調になりがちな縞のデザインに変化をつけたいと思ったら“やたら縞”を作ってみませんか。色のやたら・縞の

太さのやたら。組み合わせを考えると無限の可能性をもつやたら縞ですが、いざ作ろうと思うとどのように

“やたら”を作ればいいのか迷ってしまいます。その“やたら”をデザインする方法のいくつかを、実例をご覧

いただきながら解説します。

(10月28日(月)定員になりました、 11月11日(月)定員まであと2名)


●専修講座-2 紬を織るということ (対象:上級者、①~⑥を受講済みの方)

影山工房が60年間織り続けてきた「紬」。糸の選び方、糸の太さと筬の関係、色の決め方、糊付けの方法、経糸の

テンション、小管の巻き方、筬の打ち方、糊落とし、砧打ち、仕上げの方法など、私が紬を織る技法の全てを

解説します。実際に紬を織っている方が対象です。(この講座のみ受講料10,000

(10月28日(月)定員になりました、 11月11日(月)定員まであと2名)


受講料は一講座4,000(⑧以外)。受講を希望される方は(氏名、住所、電話番号、受講を希望する日時と講座名

を明記の上、ファックスかメールにて下記までお申込み下さい。折り返し受付確認の連絡を差し上げます。


申込先 手機織処 影山工房 Fax:0544-27-0054 Mail:kageyamakobo●factory.tnc.ne.jp

                                  ↑●@に置き換えて下さい。


※出席者には受付終了後に会場までの交通機関のご案内をお届けします。


◎当日は“織道具機料善”の道具類の展示販売もあります。


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# by kageyama_kobo | 2024-08-06 09:32 | 仕事のコツ

藤井慎介*影山秀雄 木工染織展 in 八ヶ岳俱楽部

藤井慎介*影山秀雄 木工染織展 in  八ヶ岳俱楽部_f0175143_14245701.jpg

恒例となりました、藤井慎介さんとの八ヶ岳倶楽部での二人展です。

硬いモノ(木)と柔らかいモノ(布)がどのように調和するのか…
作品同士の出会いが毎回楽しみです。

標高1330mの八ヶ岳高原は、下界とは別世界の爽やかな風の中です。
ぜひお越し下さい。

# by kageyama_kobo | 2024-06-21 14:39 | 発表の場

和綿・ガラ紡糸で織るネックウェア

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かつて綿織物の産地だった静岡県浜松地方で栽培された和綿を
“ガラ紡製糸”で作られた糸をいただいていました。

繊維に強い聴力を掛けずに紡がれたこの糸には独特の膨らみがあります。

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今回はこの糸を“栗のイガ”で染めました。
媒染は木灰(左)と鉄(右)です。

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“双糸”であったことと、経糸の摩擦の少ない“綾織り”で織る事から
今回は糸に糊は付けませんでした。

和綿・ガラ紡糸で織るネックウェア_f0175143_09534331.jpg
白地に棒縞、そしてヘリンボーンというシンプルなデザインで、
夏に向けて“綿のネックウェア”を織ります。

機の下に若干の綿ぼこりは落ちたものの
経糸の毛羽立ちもなく、“糊付け無し”の影響はありませんでした。

和綿・ガラ紡糸で織るネックウェア_f0175143_10052512.jpg
端はフリンジを付けるとやかましくなりそうなので、
ミシンとかがり糸で始末しました。

最後に無香料の柔軟剤に漬けてから乾かすと
まるでウールのような肌触りの優しい布になりました。

使い込むほどに柔らかさを増し、
肌に馴染む布に育ってくれることでしょう。

部屋の冷房が少し強いと感じた時、首に巻いていただけたらと思います。



# by kageyama_kobo | 2024-06-18 10:24 | 染めと織りの素材

古い竹筬を洗ってみた

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もう何年も前にこの竹筬を譲り受けました。
新聞紙に包まれて丁寧に保管されていたようですが、
開いてみるとかなり汚れていてすぐに使える状態ではありません。

“竹筬を洗う”などと言う話は聞いたことがありませんが、この筬をこのまま使う事も
出来ないので思い切って洗ってみることにしました。

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筬羽の両端を覆っている和紙には“十四ヨミ”という表記のみがありました。

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しかしいざこの筬を水に浸けてみると、
ご覧のように和紙の下に張られた紙に書かれた文字が浮かび上がってきました。
(この部分の和紙は三重に張られていました)

何と“明治三十五年四月求む”との事でした。
という事は、100年以上前に作られた筬だったのです。

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筬目の表示もこのように“十四讀”と表示されています。

筬目の密度を現す単位に“ヨミ”があり、漢字では“算”の字を充てることが一般的です。
この“讀”の字を充てるのは初めて目にしました。

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もう一つ“新村北矢野用器”とは、この筬を製造もしくは販売した店の屋号でしょうか。

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“吟味請合”とは、“よく吟味して作ってあるので品物の品質は請け合います”との意味でしょう。

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筬は歯ブラシに洗剤を付けて磨き、丁寧に汚れを落としました。
水気を切って乾かすと、ご覧のとおり新品とまではいきませんが
綺麗な筬羽がよみがえりました。

筬羽の両端に新しい和紙を張れば、この筬に二度目の命が与えられます。



しかし一つ納得のいかない事がありました。
筬目の表示の“十四ヨミ”ですが、我が家にある“十四ヨミ”の筬はもっと筬目が粗いのです。

我が家の筬は鯨尺の一尺五分を基準に作られています。
この幅の中にいくヨミ(1ヨミは40羽)の筬羽があるかによって表示されます。
例えば14ヨミなら(14×40羽=560羽)が一尺五分の間にあるという事です。

しかしこの基準も地方によって違いがあるようで、
ある人に聞いたところ「私の所(東北地方)では曲尺の一尺が基準です。」との事でした。

そこでこの筬の密度を実際に計ってみると、鯨尺で寸間68羽ありました。
我が家の14ヨミの筬は寸間53羽なので、やはりかなり細かく作られています。

曲尺の一尺は鯨尺の8寸とほぼ同じです。
そこで、この筬密度を曲尺に換算してみました。

68羽×鯨尺8寸=544羽

この544羽を1ヨミの40羽で割ると13.6ヨミ…という事になります。

13.6ヨミ ≒ 14ヨミ

これが一番近い所かな?


# by kageyama_kobo | 2024-05-30 22:01 | 道具の話

織機の道具置き場

ただ今、織り幅91㎝の蓮糸の服地を織っています。
普段使っている小幅(反物・帯用)の機と比べると織り幅はほぼ倍になるため、
織機の扱いもずいぶんと勝手が違います。

いつもなら杼箱からすぐ取り出すことのできる“握りバサミ”などの小さな道具類は、
この度は少々離れた機の横に置いた台の上に置かなくてはなりません。

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蓮の糸は切れやすく、また併せて使っている玉糸も節が多いため
“握りバサミ”や“毛抜き”などは頻繁に使います。

しかしこれらの道具類もこの位置にあると、使うたびに体を倒して
大きく腕を伸ばさなければ手に取ることが出来ません。

そこで、このわずらわしさを解消するために“道具置き場”を機に直接作りました。

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太い孟宗竹を割って棒状にし、これを木ネジで機に直接取り付けます。
つまり“小さな囲い”を作るのです。

中にフエルトを敷くと振動で音が鳴るのを防げます。

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使用頻度の高いこれらの道具たちがこの位置にあれば無理なく手に取ることが出来るので、
作業中の無駄な動きが大幅に軽減されました。

快適に仕事をするために、そして作業効率を上げるためにも、
道具類の配置はとても重要です。


# by kageyama_kobo | 2024-03-28 21:26 | 道具の話