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機織り職人の仕事場から…

teorimono.exblog.jp

糊落とし

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紬糸や座繰り糸のように毛羽立ちやすい糸を経糸に使う場合は染色の後で今まで以上に濃い糊を付ける必要があります。
しかしこの糊は機織りの作業の中でのみ必要なもので、織り上げたら洗い落とさなければなりません。
そのままにしておくと糸本来の風合いを損なうばかりか、保存の条件によってはカビの栄養源となってしまうからです。

我が家では母が紺屋の娘だったことから創業当時から織り上がった反物の糊落とし(“湯通し”と呼んでいます)は自宅で行っていました。
そのため糊の落ち具合を自分で加減することが可能です。

実際に作業をしてみて感じた事は、糊は想像以上に落としにくい(糸に残りやすい)ということです。
そこでこの落としにくい糊を落とすためには何が必要なのかを考えながらこの一年間、自分の織った反物の糊落しを行ってきました。
現在までに分かったことは手間と水をたっぷり使って糸から糊を追い出すことだと感じています。

理想の布の風合いが見つかるまで、糊落しの実験は続きます。



by kageyama_kobo | 2009-10-21 19:59 | 仕事場の風景