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機織り職人の仕事場から…

teorimono.exblog.jp

大失敗!

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「急がず焦らずマイペース」を心掛けて織っていたはずなのですが、心のどこかに日にちが限られているという思いがあったのでしょう。
今日は大失敗をしてしまいました。

それは今朝の話です。機に座って30分も経たない頃、ふと「柄の入れ間違いなんか無いだろうな?」という思いが頭をよぎりました。
そして何気なく視線を移した織り手前の布の柄が不自然なことに気付いたのです。

今織っている反物の柄はベージュとサーモンピンクが交互に入った格子柄なのですが、写真の通り一番上の段に
サーモンピンクの柄が二つ続いているのがお分かりでしょう。これは明らかに柄の入れ間違いです。

写真では今間違えたばかりのように見えますがこれはかなり解いてから撮影したもので、
実際にはここから13センチほども織ってしまったのです。

経糸に生糸や玉糸を使った場合には13センチほどを解くのはそれほど大変なことではないのですが、
今回は何と言っても毛羽立ちやすい紬糸を使っています。
「ここから解いたとしても13センチを解くうちには絶対に糸が毛羽立ってどうにもならなくなるだろうな…」という思いと
「織り続ければ、たとえ織り上がったとしても柄まちがいのB反(キズ物)にしかならないな…」という思いが心の中で入り乱れました。

大失敗!_f0175143_18314999.jpg
こういう場合、私は“後々絶対に後悔しない方法”を選択することに決めています。
気合いを入れて織り始めた双紬の反物を絶対にB反にはしたくなかったので“13センチを解く”ことにしました。

予想していた通り解くほどに経糸は毛羽立ち、緯糸一段一段を解く時間が徐々に長くなっていきます。
それでも焦らず経糸の毛羽立ちを最小限に押さえながら丁寧に解いていきました。

結果的には午前中一杯掛かって何とか間違えた箇所まで解くことが出来ました。
始めた時に「解ける確率は50パーセントかな?」と予想していただけに、ここまで解けたことに感激してしまいました。

時間を大幅に無駄使いしてしまいましたが、これで織り上がった反物を胸を張ってお客様に見ていただくことができます。

by kageyama_kobo | 2009-11-09 19:16 | 仕事場の風景