タッサー・シルクの糸を作っている所があるということで案内されました。普通の民家のようにも見えましたが沢山の原料となる繭や織り上がった生地があるところを見るとこの地域の“織元”なのかもしれません。
一階の倉庫には近在の村から集められたタッサー・シルクの繭が山のように積み上げられていて、屋上に案内されると沢山の繭が天日に干されていました。
タッサー・シルクの繭は潅木の木の枝に作られます。ここで干された繭は繭本体と繭と木の枝をつなぐ軸の部分が切り離されます。写真が軸の部分だけを集めたもので、この部分だけを使った(この部分も絹の繊維ですから)糸も作られます。
仕分けされた繭は大きな鍋に入れられ、アルカリ液の中で煮ます。この工程で絹の繊維を保護していたニカワ質を取り除き、繭の繊維をほぐしやすくします。
元々はグレーや褐色やくすんだ黄色をしていた繭も、鍋の中で煮るとこのような薄茶色になります。
煮上った繭の一端をつまんで引っ張るとご覧のように絹の繊維が引き出されます。これに撚りを掛けた物がタッサー・シルクの糸になります。
インドではこのように引き出したタッサー・シルクの繊維を少女の太ももの上で手のひらで撚りを掛けて糸を作る方法が有名なのですが、この工程は残念ながら今回は見られませんでした。
写真右側の薄茶色の糸が繭本体から引き出された糸で、左側に見える黒っぽい糸が繭を木の枝につないでいた軸の部分で作られた糸です。それぞれに個性的な糸になります。