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機織り職人の仕事場から…

teorimono.exblog.jp

掘り出し物

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先日、名古屋の骨董屋で面白い物を見つけました。かつて製糸工場で糸の長さを測った“検尺器”です。作られたのはたぶん明治から大正にかけての頃だと思います。我が家にも一台あるのですが、造りの良さとデザインの美しさに惹かれて買い求めてしまいました。



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本来は木の枠に糸を巻き取る構造なのですがその枠は欠損していました。それでも枠に巻き取る時に糸を一定の幅に振るための腕が付いています。(写真左)
道具の機能とはまったく関係ない事ですが、前板の彫刻や基盤の縁取りなど当時の職人さんのデザインセンスの良さには脱帽です。これがある事でこの機械がどれだけ魅力的に見えるか!(写真右)


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前板には枠が何回転したのかを表す目盛が付いていますが、残念ながらこの目盛を指す針とそれを動かす機構は取り外されていました。その下には製造元か使用者を現す焼印が押されているのですが解読不可能でした。

ケヤキ材の木目と質感、素敵でしょう!

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掃除のために分解してみると、ご覧のとおり驚くほど部品は少なくシンプルな構造でした。それでも精密に組まれた当時の木工技術には驚かされます。

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歯車を止める竹の釘とハンドルのつまみが欠損していたので新たに付け足しました。歯車が回転する軸受けの部分には蝋やグリスを塗ることで滑らかな回転が甦りました。


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左の写真のような枠を自作すると糸の長さを測ったり、管に巻いた糸をカセに揚げ直すのに重宝します。または右の写真のような道具を作り緯絣の絣糸を取るための道具としても利用できます。
by kageyama_kobo | 2010-05-29 14:44 | 道具の話