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機織り職人の仕事場から…

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二種類の織り伸子

二種類の織り伸子_f0175143_13174441.jpg昨年春に試作を開始した“織り伸子”。
12月に行なった東京・TEORIYAでの作品展で晴れてデビューを果たしました。

二種類の織り伸子_f0175143_13181318.jpg最初に作ったのは“織り表”に取り付ける事を前提に作った物です。

素材は100年以上も茅葺き屋根を支えてきた煤竹(すすだけ)の、それも貴重な太いものを用いています。長い年月を囲炉裏の煙で燻されているため、新品といえども飴色の肌には何ともいえない風格を感じます。

二種類の織り伸子_f0175143_13183552.jpg上から押さえつけて針を刺しやすいように、針の向きを斜め45度ほど傾けて取り付けてあります。

二種類の織り伸子_f0175143_13184983.jpg当初は全長は固定式を考えていましたが、写真のようにダボとダボ穴を使うことで長さの調整が簡単に出来ることを思いつきました。

ダボ穴の間隔は鯨尺の2分とし、2分ごとに1寸の範囲で長さの調整が可能です。

二種類の織り伸子_f0175143_13194623.jpg作品展の会期中、何人かのお客様から「私は伸子を“織り裏”に取り付けたいのです」というお話を伺いました。そこで今年に入ってから新たに“織り裏用”の伸子を作りました。

伸子を織り裏に取り付けると針が上向きになります。この針が作業中に手や袖口などに引っ掛からない工夫が必要になります。

二種類の織り伸子_f0175143_13191878.jpg本体の竹の先端を斜めに削り、この先端から針の先が飛び出さない位置に針を埋め込みます。

そして、その針の向きも本体と並行にしておくことで針先の余分な飛び出しを防ぎます。

二種類の織り伸子_f0175143_1319778.jpg昨日から織り始めた紬の反物で早速テストしました。

使い心地は上々です。織り際がすっきり見えるので、織り傷の発見もしやすくなります。

これで“織り表用”“織り裏用”のどちらの注文にもお応え出来るようになりました。



by kageyama_kobo | 2014-01-28 13:58 | 道具の話