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機織り職人の仕事場から…

絹糸染めの染料テスト

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最近になって紬の反物の糊落としに問題があることを発見しました。

私は糸の糊付けにデンプン糊を用います。
デンプンは通常の湯通し(水の中で糊を揉み出す)では完全に落とすことができません。
生地に糊が残留すると硬さが残り、仕上げた後も繊維本来の風合いを出すことができません。
この落ちにくいデンプン糊を落とすためにデンプン分解酵素を使って糊落としをします。

この方法で糊落としをする場合、糸を染めてある染料が溶け出さないように
なるべく低温で処理しなくてはなりません。
そのためには長い時間生地を酵素液の中に漬けておく必要があります。

その結果、上の写真の矢印の部分のように染料が溶け出して薄い部分ににじみ出ることがあるのです。
こうなると、せっかく手間暇かけて織り上げた生地が売り物にならなくなってしまいます。

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そしてこの度、薄いベージュの地に濃い色の柄の入る反物を織ることになりました。
また糊落としで色のにじみが出てしまっては困るため、簡単な「色移りのテスト」を行いました。

今回使う予定の色糸と地色の糸を写真のように結びつけて、糊落としと同じ温度のぬるま湯に
同じ時間だけ漬け込んでみたのです。

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上の写真は8時間の漬け込みを終え、手で絞った状態です。
これからこの糸の結び目を解いていきます。

ここから下は、色糸と地色の糸が接していた部分を並べた写真をご覧いただきます。

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前回問題だった赤の染料ですが、今回新たに堅牢だといわれる染料を2色試しました。
写真の染料はオレンジがかった赤の染料です。
色移りはほとんどなく、これは使えそうです。

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もう一種類の赤は、矢印の部分に色移りが見られました。不合格です。

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ほんの少しコバルトブルーを使いたくて試してみました。
色移りは全くなく、合格です。

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植物染料で下染めをした上に、黄茶の染料をベースに染めた濃いヤマブキ色です。
矢印の所にわずかに赤茶の色移りがありましたが、かろうじて合格。

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このこげ茶は以前に使った糸の残糸です。染料の種類はもう調べることはできませんが
矢印の部分にわずかな赤茶色のにじみが見られました。
今回の用途からしたら、ギリギリ合格。

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この赤茶色はくっきりと色移りが見られました。
残念ですがこの染料は不合格。
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上の赤茶と同様、この緑もかなりの濃さでにじみが出てしまいました。
色が気に入っていただけに残念です。不合格!


私が使う化学染料はそれほど種類は多くないのですが、それでも今までに
「淡色ではいい色なのに、濃色に染めると色が止まらない」とか、「長期保存しておくと
空気中の水分を吸収してゼリー状になってしまう」などの個性的な染料がいくつかありました。

今回の色移りもそうですが、このような染料の個性は実際に使ってみないと分からないものです。
私は少しでも自分の使う染料に疑問があった場合、今回のようにテストをしてみます。

それともう一つ、染料を買い求めた染料屋に問い合わせてみることも大切です。
使った結果を伝えると、より良い染料を紹介してもらえることもあります。






by kageyama_kobo | 2019-09-25 21:59 | 色があり柄があり…