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機織り職人の仕事場から…

カテゴリ:道具の話( 72 )

糸よ、早く乾いておくれ!(簡易乾燥機)

以前ある雑誌で「雪国では温風ヒーターの風をコタツに送るパイプが売られている」という記事を読んだ事があります。私の住む温暖な静岡県には当時このような物はなく「あったら是非欲しい!」とずっと思っていました。そして今年の冬、地元のホームセンターでこのパイプを発見したのです。

それというのは↓このような物を作りたいと思ったからです。
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梅雨のこの季節、染めた糸がなかなか乾かず苦労されている方も多いと思います。
私もジュートマットの準備を始めたものの緯糸が足りないことに気づき慌てて染めたのですが、経糸は機に掛けたもののこの糸が乾かなければ織ることができません。

そこでかねてから構想を持っていた“簡易乾燥機”を作ってみました。
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家にある適当な大きさの段ボール箱の中段に糸が置けるよう、細い竹の棒を並べて刺します。
更にはこの箱に温風を送り込むパイプが入る穴を開けます。
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温風ヒーターからの熱風をパイプに取り込み…。
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その風を段ボール箱の中に送り込むのです。
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風を送り始めたら段ボール箱の蓋を半開きにして水分を外に逃がします。
時々糸を動かしながら、約2時間ほどで仕事ができる程に糸が乾きました。

太陽の光や自然の風が有難いとつくづく思うこの季節です。





by kageyama_kobo | 2019-07-08 21:33 | 道具の話

“千切り巻き機”を新調

我が家では“整経台”で経糸の準備をし、この経糸を千切りに巻き取る作業は“床巻き”で行います。
経糸が短い場合や糸に節の無いきれいな糸の場合には“床巻き”は準備が簡単でいいのですが、着尺のような長い経糸や玉糸のような節の多い糸を巻き取る場合は不安定な千切りを足や膝で押さえつけながらの作業が長時間続くため、人間の足腰に大きな負担が掛かります。

若い頃には何とも思っていなかったのですが、私も歳を重ねていつの頃からかこの作業が辛く感じるようになってきました。そこで以前から“千切り巻き機”を作る構想を練ってきたのです。

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三年前に自宅と工房をリフォームした際、この道具を設置することを前提に床に穴を開けておきました。
この穴に合わせた寸法で設計し、友人の木工職人の力を借りて“千切り巻き機”を新調したのです。

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構造は千切りを受けるU字型の部分を台座に斜めに取り付けたものを2個作り、片方に千切りの逆転を防ぐ“巻き取りギア”を取り付けただけのシンプルなもの。これを床に固定すれば準備は完了です。

以前父の機で使っていた“巻き取りギア”が再び活躍の場を得ました。

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巻き取る経糸に適当なテンションを得るため、ロッククライミングの道具の“エイト環”を利用しました。

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エイト環とロープの摩擦を利用するとこんな小さな分銅一つの抵抗で十分なブレーキが掛かり、
この分銅が床をズルズルと滑りながら千切りにはきっちりと経糸が巻き取られていきます。

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巻き取りの作業はご覧の通り。床に開けた穴のお蔭で腰掛けた状態で行なえます。楽な姿勢で仕事ができるので今まで大変だった経糸の節取りなどの長時間の作業がもう苦になりません。

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作業が終わったら道具はすべてこの蓋の中に収納し、後はただの平らな床に戻ります。


今日がこの“千切り巻き機”の使い初めでした。

若干の修正点はあるものの使い心地は上々で、
これで私の仕事の中で一番の重労働から解放されることになりました。





by kageyama_kobo | 2019-06-04 20:10 | 道具の話

掘り出し物の“番手計”

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これがどんな道具かお分かりですか? 実は私、以前からこれが欲しかったのです。
そして、やっと手に入れました。

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“番手計”と書かれています。そうです、糸の番手を計る道具です。

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ご覧の通り、毛糸の番手を計る道具なのです。

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この数字、お分かりですね?
50mの長さの毛糸をフックに吊るして計ると、上の目盛に番手が表示されます。
100mだと下の目盛です。

そして、あれこれといじっているうちに閃きました。

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このままでは短くて軽いカセしか計れないのですが、
錘(おもり)を追加することで私が良く使う“蓮の糸”の太さを計る道具に改造できます。

今まで使った“蓮の糸”は太さが絹番手で300デニールから1200デニール。
カセに上げる長さは通常650m。

300デニールで650mのカセは21.7g、1200デニールで650mのカセは86.7g

なので、この秤を21.7gから86.7gまで計れるようにすれば、300デニールから1200デニールまで
糸の太さが瞬時に計れるようになります。

今まではカセの重さを計っては電卓で計算してデニールを確認していたのですが、
その面倒な作業がこれで不要になりました。

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21.7gから86.7gまでをこの秤で一度に表示するのには少々無理があるので、
糸を吊るすフックの位置をもう一か所内側に増やしました。
これで糸の重さが二段階で計れるようになります。

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もともとあったフックの位置で計ると右側の数字で300デニールから700デニールまで、
新たに開けた穴にフックを掛けて糸を計ると左側の数字で500デニールから1200デニールまで
計ることができます。






by kageyama_kobo | 2019-03-27 22:44 | 道具の話

“織道具機料善” 今年も始動!

 影山工房は織物工房ですが、織物とは別に織り道具の企画制作も行っています。この織り道具のブランド名が“織道具機料善”(おりどうぐきりょうよし)です!
 すべての道具は影山工房の仕事の中で「便利さ」「使いやすさ」を求めて自分たちのために作ったものです。そして6年前から、織物に取り組む人たちに向けてこの道具たちの提供を始めました。
 多くの製品は影山自身が手作業で作ります。一部は友人の木工職人の手を借ります。すべて手作りのためたくさんは作れません。数に限りがあるので大々的な販売は不可能。この道具類は“影山工房公開講座”の会場のみの販売となります。
 対面販売を原則と考えていますので通信販売はしません。興味をお持ちの方は実物を手に取って、もしも気に入っていただけましたらお求め下さい。
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●楽し針…先が鋭く軸の太いこの針は、布目を直したり・結び目を解いたりと思いがけず重宝します。

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●綜絖通し…使う糸に合わせて何種類か使い分けることをお勧めします。ステンレスの針金を研磨して針先を作ります。柄の部分は竹の枝や弓矢の矢じりを使い、同じものは二つとありません。


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●矢筈…筬通しの道具です。市販のものは金属製ですが、これは太い竹を割ったものを削って作ります。着尺の糸に対応できるよう薄く作ってあります。細い糸用です。

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●綾棒…左の二本は女竹を、茶色いものは弓矢を素材に使っています。ヒモの付け方に特徴があります。

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●ふわり・ふわり台…“良いふわり”の条件は、掛けるカセの大きさに合っている事と軽い事です。使うカセの大きさに合わせて受注生産も致します。“ふわり台”の台座はケヤキとサクラの二種類の素材があります。


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●巻き筬台…整経の後、巻き筬を通す時に綾棒と筬をしっかり固定する道具です。写真のように筬を平らに置くものと、斜めに立てられるものの2種類があります。


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●羽子板…整経台で経糸を整経する時にこの道具を使うことで、経糸のテンションが揃いやすくなります。磁器のリングを20個使ってあります。

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●筬吊り…綜絖通しの後、織り筬を通す時に筬を保持する道具です。多くの方から好評をいただいています。

※1 ご希望によっては特殊サイズやマイナーチェンジなども制作可能です。ご相談ください。
※2 お買い上げ後は可能な限り修理やメンテナンスの対応をいたします。
※3 あえて価格は表示しませんが、もしもお知りになりたい場合は電話かメールでお問い合わせいただければお答えします。



by kageyama_kobo | 2019-02-24 19:13 | 道具の話

緊急事態発生!

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8月の作品展に向けてジュートマットを織っています。
昨日、このマットを織っていると綜絖を上下させる踏み木がストンと落ちたような感触があり、
綜絖が思うように動かなくなってしまいました。

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原因を調べてみるとご覧の通り、綜絖枠の上下を支える板が折れていました。
緯糸をしっかり打ち込まないといけないので、経糸にはかなりのテンションをかけます。
この経糸を開口させるために、この板には強い力が下方に向かってかかります。
おまけにこの板の中心近くには節があったため、度重なる下に引っ張る力に耐えかねて
折れてしまいました。

このままでは綜絖を動かすことができず、つまり仕事が続けられません。

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しばらく思案しましたが、染め場の隅っこに手頃な板があったのを思い出しました。
綜絖枠の板の幅に合わせて切り、ご覧のように8本の木ねじで固定しました。
いずれ綜絖枠の板は取り替えなければなりませんが、ひとまずこの応急処置で何とか仕事は続けられ、
無事に織り上げることが出来ました。

こんな時に助けられるために、小さな木切れや金具などは簡単に捨てることができません。
でも、いつ使うのかわからないガラクタを置いておくのにも場所が必要なため、
どこまでとっておけばいいのかは常に悩みの種です。



by kageyama_kobo | 2017-07-10 10:20 | 道具の話

機料善・織り道具の制作

2月10日から行う影山工房公開講座の会場で販売する私の作る織り道具・機料善のアイテムを制作しています。すべてのアイテムを揃えることはできないのですが需要の多い品物はいくつか作っておきたいと、今回は織り伸子・羽子板・アゼ竹の3種を作りました。
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織り伸子は特に手間の掛かる道具で、一年間乾燥させておいた太い真竹を切って割るところから制作が始まります。割った竹を成型し、火であぶって曲げ、針は一本づつステンレスの針金を削って作り、革ベルトも型紙から起こしてすべて自作します。
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羽子板は二年前に磁器のリングが手に入ったことから公開講座の受講生を対象に受注生産で作り始めました。なかなか使いやすいものがなく我が家でもいろいろと作ってきましたが、やっと“これならいける!”という形と寸法が出来ました。
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アゼ竹(綾棒)は機織りの作業の中で命ともいえる“綾”を保持する重要な道具。しかし市販のものに使いやすいものはなく、プロ・アマを問わず私が今まで目にしてきた織りの現場で“これはいい!”と思えるものは一つもありませんでした。アゼ竹には軽さと弾力、そして真っ直ぐなことが求められます。そして、ふとしたきっかけから発見したアゼ竹の理想の素材が“弓矢”でした。竹の両端には先端に結びこぶの無い紐が取り付けてあります。この紐はすべて私が縒って作ります。

ここに紹介した道具は少し手先の器用な人なら自作できるものばかりです。手持ちの道具に物足りなさを感じた方は参考にしてみてください。

※“機料善”の道具はすべて私が仕事の合間に手作りした物です。したがって量産が出来ないため通信販売には対応できません。時々お問い合わせをいただくのですが、ご理解ください。



by kageyama_kobo | 2017-02-07 00:22 | 道具の話

男の黒紬…黒糸を織るための工夫


人間は年齢と共に体の機能がじわじわと衰えてきます。私がその事を実感したのは45歳の頃でした。本やパンフレットの小さな文字が滲んで見えてくる事を知人の眼鏡屋に話したら、「それが老眼だよ!」と一言。そしてその場で老眼鏡を注文したのは言うまでもありません。

その頃からでしょうか、私は細くて濃い色の糸を経糸に使用する時に必ず使う道具があります。

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赤い矢印の先にあるのがその道具で、素材は白い発泡スチロールです。自分の足や綜絖など動く部分と干渉しないよう、そして機にはめ込むようにカットしてあるので、わずかな固定器具で取り付けられます。

左側は織り際が良く見えるよう、そして右側は綜絖と綾棒の間の糸の状態を確認するためのものです。

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この白い背景があることで濃い色の経糸の状態が良く把握でき、特に今回使用している節の多い糸などはこれがあることで綜絖周辺の経糸の節や枝糸をいち早く発見することが可能になります。

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ご覧のように白い背景に黒い糸がくっきりと見えるので経糸が切れてもすぐに発見でき、傷を織る前に手直しが可能となります。

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他の糸に絡んだり綜絖に引っかかったりする枝糸は、早めの発見と対応で作業時間のロスを軽減できます。

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もう一つ老眼対策として行ったのが作業エリアの照明の充実です。天井に取り付けたスポットライトはLED電球なので発熱も少なく、コンパクトであることが気に入っています。スイッチは機に座った状態で手が届く所に取り付けてあります。


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ライトの光軸は綜絖と間丁の間の綾棒周辺に合わせてあります。細い経糸が切れた場合、この辺りでつなぎ直すことが多いからです。

織りの作業の中で理由の分からないストレスを感じるようになったら、照明を改善してみることをお勧めします。きっとかなりの確率でストレスが軽減されると思いますよ。

by kageyama_kobo | 2016-09-30 02:17 | 道具の話

仕事場に新しい機が仲間入り

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我が家の仕事場に織り幅90センチの機が仲間入りしました。以前から広幅の機は欲しかったのですが、これを置くと仕事場が狭くなる事からためらっていたのです。しかし、この度服地の注文を受けた事をきっかけに導入を決心しました。

この機は知人宅で何年も使われていなかったものです。金属部分に錆が出たり、今まで使っていた機とは構造が違い私には使いにくい部分が何か所かあったため、お盆休み返上で機の改造に取り組みました。

仕事場が狭くなる事への対策として、この機を使っている間はいつも使っている機は解体して仕事場の隅っこで休憩してもらうことにしました。
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まず最初に行ったのは踏み木の取り付けです。機に座ると向こう側に根元のあった取り付け部分を固定器具を新調して手前のかかとの位置に付け替えました。
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その踏み木には、綜絖から降ろしてきた紐が結ばれるのですが、この紐の位置が使っている最中にに移動しないよう溝を刻みました。
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長い間放置されていたろくろの軸は錆び付いて動きが悪かったため、サンドペーパーで錆を取り除き蝋を塗って動きを滑らかにします。手で回すと軽やかにクルクル回るくらいが理想です。
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長さ90センチの筬が入る筬塚ですが素材の所為か大きさの割りに重さが足りないように感じました。そこで、ストックしておいたケヤキの板をウエイトとして取り付け筬塚を重くしました。
緯糸をしっかり打ち込む私の織り方には軽い筬塚は向いていません。我が家では昔から鉄の棒や硬い木を筬塚に取り付けて、軽い力でもしっかり筬が打ち込めるようにしています。
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筬塚の高さを調節する部分です。改良前はヒモを掛けるギザギザの背側に幅広の板を取り付け、機織りの最中に筬塚から手を離すと筬が自然に織り際から離れるような仕掛けになっているのですが、私にはこの吊り方は使いにくいので背側の板を薄くしました。
こうする事で経糸を最後の最後まで織りつめるのに有利になります。
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筬塚の前後の位置を決める溝が使いたい部分に無かったため、ここに新たに細かく溝を刻みました。筬塚の位置は織る時の姿勢に大きく影響するため、細かく調整できるようにしたかったのです。
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菊を固定する棒を上方に引っ張るためのバネが錆びていました。私はこのバネの感触が嫌いなので、代わりに分銅を使って棒を引っ張るように変更しました。

私は自分の使う道具は常にベストコンディションを維持できるよう心掛けます。ストレスのない仕事環境はいい布を織るための絶対必要条件だと考えます。
by kageyama_kobo | 2016-08-14 01:23 | 道具の話

新しい整経台

f0175143_20241158.jpgこの度の仕事場のリフォームに合わせて整経台も新調しました。サイズは以前のものとほぼ同じですが、あちこちに改良を加えてあります。
今回は少々長くなりますが、この整経台を紹介します。

一番の改良点は、今までのものは据え置き型だったのに対して新しい整経台は折り畳み式にしました。使用しない時に仕事場の床を広く使うための苦肉の策です。

f0175143_20242914.jpg整経を行なう時は“管立て”を手前に傾け、整経台を起こして足を取り付け斜めに固定します。

f0175143_20244732.jpg整経台の木枠は4か所の蝶番で壁に固定してあります。

f0175143_20245979.jpg足は手前左右の角に柱を立て、それぞれ蝶ネジ一本で固定します。きゃしゃに見えますが木枠ががっちり作られているので少々触ったくらいではビクともしません。

この足の部分と壁に蝶番で止めてある部分は以前の整経台の木材を使っています。先輩が後輩をがっちり支えてくれています。

f0175143_20251427.jpg経糸を掛ける“駒”は竹を削って作りました。頭の部分は握りやすいように四角に、根元の部分は糸が自然に曲がるように丸くしてあります。

整経の作業中、時に使わないとなりの駒が邪魔になることがあります。そんな時は取り外すことができるよう抜き差し自由にしてあります。

f0175143_20252877.jpg整経台を使わない時、長い“綾取り棒”は邪魔になるので、これはネジ式にして取り外せるようにしました。

f0175143_20254130.jpg実際に使う時はこのようになります。

f0175143_20255876.jpg木枠の左上の隅にヘラ状の竹で“糸休め”を作りました。

整経の最中に糸を替える時、電話に出る時、トイレに行く時、玄関に宅急便が来た時、ここに糸をはさんでおけば糸を緩めないで手を放すことができます。

f0175143_20261336.jpg整経が終わったら残った糸を切り離すために、私はいつからかこの位置に少し大きめの“握りハサミ”を置くようになりました。

作業中に結び目を直したり糸の節を取ったりする時も、この場所にハサミがあるととても重宝します。

f0175143_20262545.jpg整経が終わったらまずヒモで綾を取ります。

f0175143_20264040.jpg次に麻ヒモで最後の部分をきっちりと結びます。

f0175143_2027024.jpg麻ヒモで結んだところを左手で持ち、綾取り棒の左側の部分の糸を右足で踏みつけ(普通の方はこの部分は軽くヒモで結んでおくとよいでしょう)、刃の反った小刀でザクッと切り離します。

この部分は小刀の刃が何回も当たるので深く掘れてしまいます。それを防ぐためにカッターナイフで紙などを切る時に下に敷くカッティングマット(緑の部分)を小さく切って埋め込んであります。

f0175143_20271376.jpg糸を切る場所のすぐ上の駒だけは鉄の棒(五寸釘)の頭を丸く磨いたものを使います。最後に整経台から経糸を外す時、先ほど麻ヒモで結んだ端の部分を二つに裂いてこの駒に刺せば、糸の束の終わりの端が簡単に固定できます。

父の時代から60年間使い続けてきた整経台。使いにくい部分をすべて改良し、今は快適な整経作業ができるようになりました。
by kageyama_kobo | 2016-05-29 21:38 | 道具の話

ルームライト(Loom Light)

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機を織る時に手元を照らす照明は私にとっては重要な道具の一つです。我が家では三台の機のそれぞれに20ワットタイプの蛍光灯照明を使用しています。照明の明るさの感じ方は人それぞれで違うのでしょうが、老眼により視力が落ちてきた私にとっては少しでも明るい照明器具が欲しくて今までいろいろと工夫を加えてきました。

まず最初は反射傘の部分に反射効率の高いアルミ蒸着マットを張り付けてみました。これはそれなりの効果はあったのですが、あくまでも“それなり”でした。

次に電球を蛍光管からLED電球へ変更しました。グロー球を取り外すだけで使用できる20ワット蛍光灯タイプのLED電燈に付け替えると照明の明るさは一段と増してかなりの満足感がありました。

そしてこの度の我が家のリフォーム。家の外壁や屋根の板金工事をしてくれたS君という若い職人さんと話をする中で「S君の仕事で銅板なんか使うことはあるの?」と質問すると「ありますよ」との返事。この時頭に閃いたのは「銅製の照明器具が作れたら格好いいな」という事でした。

何回か相談をしていくうちに構想がまとまり、寸法と構造を図面に描いてS君に渡すと何日か後に作ってきてくれたのです。
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照明器具は一体型(電球交換をしないタイプ)のLED電球を取り付け、構造をシンプルにしてあります。全体は銅板でできていますが内側の反射傘の部分には自然な反射光が得られるように薄いステンレス板を張ってもらいました。
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吊り金具は真鍮板を切って削って穴を開けて自作しました。
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コンセントにつなげるコードとスイッチを取り付けて完成です。
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ご覧のように世界に一つだけの重厚なルームライト(Loom Light=機照明)が完成しました。最初はギラっとした赤金色でしたが、時が経つほどに表面の色がくすんで風格が増します。

もちろん、明るさは十分満足できるものとなりました。
by kageyama_kobo | 2016-04-19 00:01 | 道具の話