上の写真は昨年我が家で織った経糸(たていと)の織り終わりに出る“残り糸”です。
経糸の最後の30cmほどはどうしても緯糸(よこいと)を入れる事が出来ないので残ってしまうのです。
短い糸なので特に使い道はないのですが、手間をかけて染めた糸を簡単にゴミ箱にポイっという事もできずに残してあります。
話は変わって、このたび作品展の依頼がありました。お題は“実用品ではなくアートで…”との事です。
日ごろ仕事で“アート”などという言葉を意識したこともない私はこんなお題をいただいて頭を抱えてしまいました。
それでも気を取り直して「“アート”というよりは“いたずら”でやってみよう!」と考えました。
そこで最初に頭に浮かんだのが残り糸でした。
「大きさはいろいろあってもいいけれどA4くらいを目安に7~8点を…」との事なので、
緯糸を変える事で色も素材も使い分けられる綴れ織(つづれおり)で織ることに決めました。
絹,木綿,麻といろいろな残り糸の中から取り合わせのよさそうな色を選んで適当な分量を緯糸に織り込んでいくのですが、
この“残り糸”がなかなかの物なのです。
人間の作為の固まりのような“デザイン”などという行為をあざ笑うかのように、
この“残り糸たち”は予想外の複雑な発色で自己主張してくれました。
この作品は来月から某所にて展示します。後日ご案内をしますので、興味をお持ちの方は是非お出掛け下さい。